約 3,139,237 件
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/150.html
それは、小さな願いでした。 望んだのは静かな日々。待っていたのは遠く離れた大切な友達との再開。 ……だけど、訪れたのは突然の襲撃者。 出会い、戦い、大きな力……。 運命が、今静かに動き初めて 嵐の中での、心を繋げた絆を信じて…… 宇宙の騎士リリカルなのはBLADE…… 始まります。 いつも通りの静かな夜だった。 美しい月を映す水面は、優しい風に吹かれて静かに波を立てる。そんな静かな夜の出来事…… 「あはは、そっか……そうだったんだぁ」 ここはバニングス邸。 家の中から少女の声が聞こえる。 声の主はアリサ・バニングス。今は友達のすずかと電話中だ。 「……でも、フェイトに会えるのちょっと楽しみよね」 『でも私達でもこんなに楽しみなんだから、フェイトちゃんとの思い出が たくさんあるなのはちゃんは、もっともっと楽しみなんだろうね』 電話の相手、すずかもうんと頷きながら言う。 「フェイトがこっちに来るって聞いて、なのは本当に嬉しそうだったもんね~」 アリサは言いながら、机に並べたフェイトや自分達の写真を眺める。 「フェイトのお迎えイベント、今のうちから考えておこうか!」 そこでアリサは「いいこと思い付いた!」といった感じに立ち上がる。 『いいね~』 「うん。パーっとやろ~」 『誰のお家でやる?』 「喫茶翠屋とか♪」 アリサは笑いながら提案した。 第2話「赤い戦慄エビル」 「民間人への魔法攻撃……軽犯罪では済まない罪だ」 「何だテメェ?管理局の魔導師か?」 バルディッシュを向けられたヴィータが、フェイトに質問する。 「時空管理局嘱託魔導師……フェイト・テスタロッサ。」 フェイトはヴィータのそばにいる白い魔神……ブレードを気にしながらも名乗る。 「抵抗しなければ、弁護の機会がキミにはある。同意するなら、武装を解除して……」 「誰がするかよっ!」 だがフェイトの説明を聞かずに一気に後退し、ビルから飛び出すヴィータ。 「逃がすか!」 それを見たブレードはすぐに後を追うようにビルを飛び出す。 「あ……ちょっと!」 フェイトは飛び出していったブレードに声を掛けようとするが、凄まじい速度で飛んでいったためにそれを断念。 そこでフェイトは一瞬なのはを見て…… 「ユーノ、なのはを頼むよ!」 「うん!」 フェイトもブレードの後に続くため、ビルから飛び出した。 「ユーノくん……」 「うん。」 ユーノはなのはに右手を当て、治療しながらこれまでの経緯を説明する。 フェイトの裁判が終わり、なのはに連絡をとろうとするも失敗。さらに海鳴市に張られた結界を観測し、今に至る、と。 「そっか。……ごめんね。ありがとう……」 「あれは誰?なんでなのはを?」 礼を言うなのはに、今一番の謎を聞くため核心に迫るユーノ。 「わかんない……急に襲ってきたの……」 なのはも少し暗い表情で呟く。いきなり襲われる覚えなど無いというのに…… 「……でも、もう大丈夫。フェイトもいるし、アルフもいるから」 「……あの、白いテッカマンは……?」 大丈夫と告げるユーノに聞き返すなのは。『テッカマン』……さっきヴィータが呼んでいた名称だ。 ユーノにもテッカマンなど心当たりは無い。 「それが……僕たちにもよくわからないんだ……」 「そうなの……」 「でも、多分……」 ユーノは「多分」と言い、ビルから外を見上げた……。 「くっ!」 ガキィン! 鋭い音をたてて、ヴィータのグラーフアイゼンとブレードのテックランサーがぶつかり合う。 「なんなんだテメェは!」 「お前はラダムか!?」 ヴィータはブレードに向かって叫ぶが、ブレードがその質問に答える事は無い。 「何訳わかんねぇこと言ってんだ!」 ヴィータはグラーフアイゼンでブレードを弾き、距離を取る。 「グラーフアイゼン!」 『シュワルベフリーゲン』 そして4つの小さな鉄球をグラーフアイゼンで叩き、ブレードへと飛ばす。 ヴィータの中距離誘導型射撃魔法だ。 シュワルベフリーゲンはブレードに向かって飛んでいくが…… 「ふん!」 ブレードは飛んで来た4つの鉄球すべてをたたき落とし、そのまま突っ込んで来る。 「……な!?障壁!」 『パンツァーヒンダネス』 シュワルベフリーゲンをたたき落とされた事に驚きながらも障壁を張る。 次の瞬間、ブレードのテックランサーがヴィータの障壁に衝突。 「うおぉぉおおお!!」 「(な……なんて威力だ……!このままじゃ破られちまう……!)」 明らかに押されているのはヴィータだ。テッカマンの力が予想以上に強かった。 そこへ…… 「バリアァ……ブレェェェイクッ!!!」 「なに……!?」 下方向からの攻撃。アルフの放ったパンチ……バリアブレイクが、ヴィータを守る障壁に直撃。 ただでさえブレードの斬撃で破られかけていた障壁に亀裂が生じ…… 障壁は大きな音をたてて破られ、消滅。 「……ンのやろぉーッ!」 怒ったヴィータはアルフの目前まで急降下、グラーフアイゼンを振り下ろす。 「ふんっ!」 「あぁっ!」 咄嗟にアルフも防御魔法を発動するが、たやすく破られ地面へと落下するアルフ。 「……!?」 アルフに攻撃し、一瞬動きが止まったヴィータ。だがすぐに右方向から飛んできた攻撃に気付く。 ヴィータは飛んできた何かを咄嗟にかわす。 「これは……テックランサーか!?」 ヴィータの横を掠めていったのはブレードが投げたテックランサーだ。 ブレードは接近しながらテックランサーを投げ、すぐにワイヤーで回収、そして再びヴィータに切り掛かった。 「答えろ!お前はラダムの手先なのか!」 「ンなこた知るかよッ!」 言いながらブレードの攻撃をかわすヴィータ。この相手の攻撃を正面から受けるのは危険だ。 それはさっきの接触で証明されている。悔しいが今はかわすしかない。 一方、アースラ。 スタッフ一同は、アースラの整備を後回しにして海鳴市の広域結界を解こうとしていた。 もちろんモニターは何も表示しようとはしない。 「(無事でいて……なのはちゃん、Dボゥイ……!)」 リンディは砂嵐を映すだけのモニターを見て冷や汗を流す。 「術式が違う……ミッドチルダ式の結界じゃないな」 「そうなんだよ……どこの魔法なんだろ?コレ……」 結界の解析完了まであと少し。 クロノとエイミィはこの「ミッドチルダ式では無い術式」に不安を感じていた…… 「……ッ!?」 一方、ヴィータはアルフのバインドにより自由を奪われていた。 「終わりだね。名前と、出身世界……目的を教えてもらうよ」 フェイトはバルディッシュをつきつけながら言う。 ブレードはそんなヴィータを黙って見つめる。 「(奴はラダムとは関係無いのか……?いや……)」 近付いてくる何かの気配に気付いたブレードは、再び力強くテックランサーを握りしめた。 そしてブレードの予感は的中する…… 「……なんかヤバいよ!フェイト!」 アルフもまた何かに気付き、警告するが…… 「……!!」 時すでに遅し。突如現れた女がフェイトに斬り掛かってきたのだ。 咄嗟にバルディッシュで受けるが弾き飛ばされるフェイト。 ヴィータは自由を奪われながらも「……シグナム?」と女の名を口にした。 「レヴァンティン、カートリッジロード。」 シグナムと呼ばれた女は剣状のデバイス『レヴァンティン』に命令し、剣の柄から「カートリッジ」を排出させる。 そしてレヴァンティンは炎を纏い…… 「紫電一閃ッ!」 『Jar』 フェイトに向かって急降下、そのままレヴァンティンを振り下ろした。 「なっ!?」 バルディッシュで受けるが、レヴァンティンの圧力に堪えられずに切断される。 そしてシグナムは再び剣を振り下ろすが…… 『ディフェンサー』 切断されたバルディッシュが咄嗟に防御魔法を展開。致命傷は避けることができたが、それでも吹っ飛ぶフェイト。 そしてフェイトはユーノの付近に落下し、激しい轟音と共にビルの壁を突き破った。 「フェイトーーーッ!」 アルフは墜落したフェイトに駆け寄ろうとするが、銀髪の男に阻まれそれを断念する。 一方、シグナムもヴィータを捕縛していたバインドを破壊。 「あまり無茶はするな。我らが主が心配する」 「わぁってるよ!」 優しい口調で言うシグナムに、少し不機嫌気味に答えるヴィータ。 「それから、落とし物だ。破損は直しておいたぞ」 「……ありがと。」 シグナムはヴィータの帽子を手渡し、ヴィータもボソッと礼を言いながら受け取る。 そしてぶつかり合うアルフとザフィーラを眺めながら状況をまとめるシグナム。 「状況は……3対4。いや……」 「4対4だな!」 シグナムに割り込んでヴィータが言う。 フェイト・なのは・アルフ・ブレードvsシグナム・ヴィータ・ザフィーラ…… これならば4対3のはずだが……? 「ああ、そうだな。一対一なら、我らベルカの騎士に……」 「ふふ…」と笑いながら言うシグナム。そして…… 「負けはねぇッ!!」 シグナムに続けてヴィータが言い、二人は再び戦場へと赴く。 「状況は4対4」。その意味とは……。 「(……俺が感じた気配はあの女達の物では無い。ならば……)」 シグナムもザフィーラもさっきブレードが感じた気配とは違っていた……。 つまり、まだ誰かが来るということだろう。そして…… 「……ッ!!」 上空から突如として飛んできた短剣。ブレードは咄嗟にそれを弾く。 「ラムショルダー……だと?」 そしてこの武器の持ち主には心当たりがある。ブレードは「まさか……!」とラムショルダーが飛んできた方向を見上げる。 そこにいたのは、赤いテッカマン。 「久しぶりだね、兄さん……」 「エビルッ……!」 しばらく睨み合う二人。相手は赤い悪魔、『テッカマンエビル』だ。 「やはり生きていたか、エビルッ!」 「当たり前さ。兄さんとの決着をつけるまでは、死ねないよ」 嘲笑うかのように言うエビル。 「……俺もお前達を滅ぼすまでは、死なないッ!」 刹那、ブレードはエビルに急接近。二人のテックランサーがぶつかり合い、火花を散らす。 「はっきり言ってくれるじゃないか?兄さぁんッ!!」 「……っ!」 次の瞬間、ブレードはエビルのテックランサーに弾き飛ばされていた。 「……なるべく急いで帰りますから。……はい、それじゃあ。」 シャマルはシグナム達の戦闘を眺めながら主であるはやてに通信を入れる。 あまり遅くなって心配されるのもまずいのだ。 「……そう。なるべく急いで、確実に済ませます。」 シャマルはぽつりと呟き…… 「クラールヴィント、導いてね」 言うが早いかシャマルの指輪……『クラールヴィント』のクリスタル部分が宙に浮く。 一方フェイトは切断されたバルディッシュをリカバリーし、再びシグナムとぶつかり合っていた。 『フォトンランサー』 バルディッシュの機械音声が術名を告げる。 「……レヴァンティン。私の甲冑を。」 『パンツァーガイスト』 フェイトの狙いに気付いたシグナムは防御魔法を発動。シグナムの体をピンクの光が包む。 実に冷静な対応だ。 「打ち抜け……ファイアッ!!」 そしてフェイトは4つの光り輝くスフィアをシグナムへと発射。 だがシグナムは全く動じない。間違いなく直撃ルートだ。しかし…… 「……な!?」 「魔導師にしては悪くないセンスだ。だがベルカの騎士に一対一を挑むには……まだ足りん!」 シグナムは防御魔法、パンツァーガイストでフェイトの放ったフォトンランサーを全て弾き、再びフェイトに斬り掛かる。 カートリッジをロードし、渦巻く炎を身に纏ったレヴァンティンでだ。 「レヴァンティン!叩き斬れッ!!」 「……ッ!!」 再びフェイトは弾き飛ばされ、ビルの壁を突き破った。ビルの持ち主からすればこの上無く迷惑な話だ。 「フェイトちゃん!」 なのははユーノが張った回復・防御を兼ね備えた結界の中で叫んだ。 悔しいが今のなのはには何もできない。 ふと、別の方向を見上げると白と赤の閃光がぶつかり合っているのが目に入る。 「あれは……テッカマン?」 「俺達は双子だよなぁ!?兄さんの好きな兄弟愛はどうしたんだい!?」 言いながら突き刺すようにテックランサーを振るうエビル。 「なんの話だッ……!」 攻撃を受け、フェイトと同じようにビルの壁を突き破るブレード。 そしてエビルは追撃のために接近する。 「俺にあるのは……ラダムへの怒りと憎しみだけだッ!」 エビルがブレードのレンジに入った瞬間、背中のスラスターを噴射。エビルを蹴り飛ばす。 「……くっ!」 「うぉおおおおッ!!」 さらにエビルを追撃するブレード。お互いのテックランサーが火花を散らしながら上空へと昇っていく。 「(シンヤ……)」 シグナムはレヴァンティンにカートリッジロードさせながら一瞬エビルを見るが、再びフェイトへと目線を戻す。 「(あれだ……あの弾丸みたいなの……)」 フェイトもこの力量の差の秘密の一つがカートリッジであろうことに気付く。 「終わりか?抵抗しなければ命までは取らん」 「誰がッ……!」 シグナムの挑発に反応し、フェイトは再び立ち上がる。 「いい気迫だ。私はベルカの騎士、ヴォルケンリッターの将、シグナムだ。そして炎の魔剣、レヴァンティン……お前は?」 シグナムは興味のある相手の名前しか知ろうとはしない。そのシグナムから 名前を聞かれたということは、それなりに認められているのだろう。 「ミッドチルダの魔導師。時空管理局嘱託魔導師……フェイト・テスタロッサ。この子はバルディッシュ……」 フェイトもシグナムと同じ高度まで上昇し、自分の名を名乗る。 「テスタロッサ……それにバルディッシュか……」 シグナムはどこか気持ちの良さそうな顔で「ふふっ」と笑いながら復唱した。 「そんなものなのかい?えぇ!?兄さぁんッ!!!」 「ぐぁッ……!」 エビルはテックランサーでブレードのテックランサーを弾き、もう片方の腕に装着したラムショルダーで ブレードの装甲を切り裂いた。それにより地面に落下するブレード。 それと同時に、ザフィーラの攻撃を受けたアルフもブレードのそばに墜落する。 「く……エビルゥッ!」 「その声……アンタまさか、Dボゥイかい!?」 エビルを見上げ唸るブレードに、犬の姿をしたアルフが問い掛ける。 「……そう言うアンタは……?」 「アルフだよ、フェイトの使い魔の……!」 お互いに相手を認識する。 「Dボゥイ、ここは一つ連携といかないかい?」 アルフはブレードに提案するが…… 「断る!……奴は俺一人で倒すッ!」 「ちょ、ちょっとDボゥイ!」 ブレードはアルフの提案を拒否。再び背中のスラスターを噴射し、エビルに向かって突撃していった。 「何なんだい……まったく!」 「話は済んだようだな。」 「チッ……!」 愚痴るアルフに再び牙を剥くザフィーラ。アルフは飛び上がりそれを回避する。 なのはは結界の中でこの戦闘を見ている。 ユーノvsヴィータ。 シグナムvsフェイト。 アルフvsザフィーラ。 そして、赤と白の二人のテッカマン。 様々な色の閃光が驚異的な速度でぶつかっては離れ、ぶつかっては離れを繰り返している。 「助けなきゃ……私が皆を、助けなきゃ……」 なのははフラフラと歩き始める。すると、突然レイジングハートから桜色の翼が飛び出す。 「レイジングハート……」 『撃ってください。スターライトブレイカーを』 「そんな……無理だよ、そんな状態じゃ!」 スターライトブレイカーの発射を指示するレイジングハート。だがレイジングハートはヴィータの攻撃により すでにボロボロで、コアには大量の亀裂まで入っている。こんな状態でスターライトブレイカーを撃つのは避けたいが…… 『撃てます』 「あんな負担のかかる魔法……レイジングハートが壊れちゃうよ!」 『私はマスターを信じてます』 「…………。」 『だから私を信じてください』 なのはは考える。だが、答えはすぐに決した。 「……レイジングハートが私を信じてくれるなら……私はレイジングハートを信じるよ!」 なのははスターライトブレイカーの発射を決定し、他の皆に念話で伝える。 「フェイトちゃん、ユーノ君、アルフさん……それから、テッカマンさん!」 なのはに呼ばれたブレード以外の3人はなのはを見る。ブレードには聞こえていないのだろう。 「私が結界を壊すから、タイミングを合わせて転送を!」 なのはの正面に桜色の魔法陣が展開される。それを心配そうに見る一同。特にフェイトだが…… 「なのは……大丈夫なのかい?」 「大丈夫……スターライトブレイカーで撃ち抜くから!!」 そして…… 「レイジングハート!カウントを!」 『All light Count……Nine……Eight……』 レイジングハートのカウントが始まる。途中で音声が途切れそうになる。 だがそれでもレイジングハートは大丈夫だと言う。 『……Seven……Six……』 「兄さぁぁぁぁぁんッ!!!」 「エビルゥゥゥゥッ!!」 二人は何度も激しくぶつかり合う。ブレードのテックランサーがエビルを切り裂き、エビルもまたブレードを切り裂く。 『……Five……Four……』 フェイトとシグナムもまたお互いのデバイスをぶつけ合う。 レヴァンティンとバルディッシュは鋭い効果音と共に弾け合い…… 『……Three……Two……』 アルフはザフィーラに頭突き攻撃。それにより吹っ飛ぶザフィーラ。 お互いに動物形態になり、二匹の獣が激しくぶつかり合う。 『……One……Zero……』 「……ッ!?」 次の瞬間、なのはの勢いは静止した。 胸から何者かの腕が伸びているのだ。愕然とする一同。もちろんなのはも含めて。 その腕は小さな桜色の光を掴んでいる。 苦しむなのはに比例し、光も小さくなっていくが…… 『Count……Zero』 「……スターライト……ブレイカー……!」 それでもなのははスターライトブレイカーを発射。凄まじい威力の桜色の閃光が、 「ドゴォン!」というこれまた凄まじい轟音を響かせながら空を目掛けて駆け抜け、協力な結界をブチ破った。 まったくもって凄まじい威力だ。味方さえも恐怖を抱くという…… 「結界、破れました!映像、来ます!」 アースラのモニターに映し出されるのは4人のヴォルケンリッターと、二人のテッカマン。 「何これ!?どういう状況!?」 慌てるエイミィ。 「これは……こいつら……」 続けてぽつりと呟くクロノ。 「あれは……?」 そしてリンディの目に映るのは白い魔神『テッカマンブレード』。 「結界が抜かれた……!?皆、一度散って、いつもの場所で集合!」 シャマルの声に反応し、散り始めるヴォルケンリッター。 「チッ……いいところで……!」 エビルも不服だがシャマルに従い、このエリアから離れることにする。 「待てエビル!逃げるのか!?」 ブレードは逃げようとするエビルを追撃しようと追い掛ける。 「フン……今回は見逃してやるよ。命拾いしたね、兄さん……」 「何だと……!」 「ふふ……それに、もうすぐテックセットしてから30分たつんじゃないのかい?兄さん?」 「……くっ!」 「だから今回は見逃してやるよ。……次会った時、兄さんに確実にトドメを刺してやるからさぁ……!」 エビルはそう言いながら立ち去ってゆく……。 「……あれは!?」 一方、クロノはモニターに映る映像を見て愕然とした。 それはシャマルが持っている黒い本……。 そして、それはクロノ……いや、ハラオウンの者にとって少しばかり嫌な因縁を持っていた。 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanoharow/pages/592.html
進展!? ◆HlLdWe.oBM 一部損壊したアパートを後にして幻惑の使い手クアットロは一路西に向かう。 目指す場所はI-2に停泊していると示されている客船。 当面はそこで籠城をしつつ情報収集を行う。 それがクアットロの客船を目指す目的だった。 頼れる手玉も近くにおらず直接戦闘が得意ではないクアットロが危険人物の徘徊している可能性が高い市街地にいる事はそれ自体が半ば自殺行為。 だがそれに反してクアットロの足取りは遅い。 既に並みの者なら客船に到着している頃にも関わらずクアットロはまだ行程の半分ぐらいしか進んでいなかった。 現在の位置はだいたいG-2のコンビニの近く。 それも当然だ。 クアットロは危険人物に遭わないように大通りから少し離れた裏路地を細心の注意を払いながら進んでいるのだ。 その歩みが遅くなるのは仕方のない事だ。 だがその間もクアットロの灰色の脳細胞はフルで活動していた。 (そういえば……なんで地上本部の最上階に転移魔法陣なんか設置したんでしょう……?) そして今の議題はなぜ地上本部の最上階に転移魔法陣が設置されていたかだ。 はやてとシャマルの話を総合すると当たり外れはあれど転移自体は作動する事は確かだ。 しかも本来なら相応の魔導師しか使えないはずの転移が僅かな魔法で発動するのだ。 これは殺し合いを回避する者同士の集結を大いに助けるものにもなる。 果たしてプレシアの真意は如何に? 同行者の分裂が目的か――いや、あらかじめ目的地を定めればそのような手違いはなくなる。 殺し合いに乗っている知り合いの元へ飛ばすためか――いや、さすがに条件が限定的すぎる。 そもそも転移魔法陣を常時僅かな魔力で作動するような状態で維持するためには一定の魔力を供給し続ける必要がある。 そこまでして上記のためだけに設置するのは効率が悪いように思える。 ではプレシア以外が設置した可能性という線で考えると、これもまた考えにくい。 ここまで用意してデスゲームを開いたプレシアの目を掻い潜って転移魔法陣を設置できるとは到底思えない。 それにそのような考えで設置するならもっと目立たない場所に設置した方がいい。 あれでは隠し場所としては不適切だ。 (え、ちょっと待って下さい……用意……) コンビニまで後少しという所でクアットロは立ち止まった。 それはある事実が頭に引っ掛かったからだ。 (用意……そうプレシアは『参加者』を集めて『会場』と『首輪』と『力を抑止するもの』を用意してデスゲームを開いた……) それは疑いようもない事実だ。 仮に黒幕がいたとしても一応の実行犯がプレシアである事実に変わりはない。 デスゲームを行う材料として『会場』を用意して『参加者』をそこに放り込む。 あらかじめ反抗防止のための対策として『首輪』と『力を抑止するもの』を全ての参加者に施す。 道中確認した事だが、どうも自分のシルバーカーテンにも若干制限が加わっているらしい。 おそらく万全な状態の8割程の性能だろうか。 今まで使った相手が狂ったキャロと焦っていたはやてだからそんな少しの不備も見逃されていたのだろう。 だがもしシルバーカーテンが万全なら首輪に干渉して外す事も可能かもしれないのだ。 当然と言えば当然の処置だ。 (そして『参加者』は『異なる世界』『異なる時間』から集められて――え、これって!?) 路地裏で立ち止まっていたクアットロの表情は徐々に険しいものになっていった。 そしてそこに少しずつ恐怖が混じっている事に当の本人は全く気づいていない。 しばらく二三呟くクアットロ。 だが数秒後一番近くにあった民家の扉を見つけると、迷わず飛び込んでいった。 (これは、もしかして想像以上に不味い状況なんじゃ……) クアットロは民家に飛び込むと、中に誰もいない事を確認してから今自分が出した予想を改めて吟味し始めた。 当初クアットロはヴィヴィオを確保して首輪を外してここから脱出できればそれで満足だった。 だがよく考えてみればそれでは不十分だ。 無事に脱出してもまたプレシアに連れて来られたら意味がない。 つまりプレシアを倒さない限り真の意味で脱出できた事にはならない。 ではプレシアを倒すにはどうするべきか。 必要なものは3つ。 1つ目は戦力。 さすがに一人でプレシアに立ち向かっても返り討ちになるのが目に見えている。 自分の知る限りプレシアの元には大量の傀儡兵がいたはず。 もちろんそれ以上の戦力がいても不思議ではないから戦力は多いに越した事はない。 2つ目は首輪と制限の解除。 戦力を集めてもこの二つを解除しないとまともな反抗行動を取れない。 3つ目はプレシアの居場所を特定する事。 プレシアがどこにいるのか分からなければ戦力を整えて首輪と制限を解除しても意味がない。 そして重要なのはこれらの条件をほぼ同時に満たさないと意味がない事だ。 (そうですわ、プレシアにとって私達は替えの効く材料でしかない……) 少し考えれば分かる事だ。 例えば自分がプレシアの立場だと仮定して考えてみよう。 参加者の中に首輪を外した者がいたらどうするか。 自分ならまず殺す。 仮に放置して首輪解除者が増えればその時点でデスゲームの存続は無理だ。 この状況を作り出す前提として「首輪で命が握られている」があるからだ。 だがもし複数の参加者が同時に首輪を外せばどうだろうか。 さすがにそれだけの参加者を始末すればまたデスゲームの存続は難しい。 おそらくこの会場ごと破棄するだろう。 今確認しただけでもクアットロ・はやて・シャマル・セフィロス・十代・ヴィータ・黒衣の神父と7つの世界が確認できる。 もし今回のデスゲームが失敗してもまた新たな世界から人数集めて実施すればいいだけの話だ。 だからデスゲームの存続が無理と判断したら会場ごと破棄される可能性は十分にある。 アルカンシェル程度の兵器を使えば一瞬で全てを無に帰して新しく始める事も可能だ。 そうはやてやシャマルの世界でスカリエッティのクローンを宿した自分が本物のスカリエッティを見捨てて基地を放棄したように。 第一これが「1回目」のデスゲームだとは限らない。 もしかしたらこれまでにも同じような事を何度も繰り返しているかもしれないのだ。 (も、もし今この瞬間にも誰かが碌に考えもしないで仲間内で首輪解除なんてしたら――) ――その瞬間、クアットロも含めて参加者全員はデスゲームを終了を待たずにゲームオーバーだ。 だがそれが分かったところで自分に何ができるだろう。 まだ確たる証拠もない状態だ。 誰かに話したところで信じてもらえるか分からない。 むしろ自分の立ち位置を考えると信じてもらえない可能性の方が高い。 さらに悪い事は重なるもの。 時を同じくして南方つまり客船の方から極光が天を照らしていた。 それは僅かな間だが近くまで来ていたクアットロはそれに気付く事が出来た。 (客船の近くで戦闘!? しかもかなり大規模な……これじゃあ籠城策も……) さまざまな事に考えを巡らせてきたクアットロはその頭脳ゆえにそれから思考の海に沈みこんでいった。 【1日目 夕方】 【現在地 G-2 コンビニ付近の民家】 【クアットロ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】疲労(小)、左腕負傷(簡単な処置済み)、脇腹に掠り傷、眼鏡無し、髪を下ろしている、キャロへの恐怖と屈辱、焦燥 【装備】私立風芽丘学園の制服@魔法少女リリカルなのは、ウォルターの手袋@NANOSING、ツインブレイズ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式、クアットロの眼鏡、大量の小麦粉、セフィロスのメモ、血塗れの包丁@L change the world after story、はやてとかがみのデイパック(道具①と②) 【道具①】支給品一式×2、スモーカー大佐のジャケット@小話メドレー、主要施設電話番号&アドレスメモ@オリジナル、医務室で手に入れた薬品(消毒薬、鎮痛剤、解熱剤、包帯等)、カリムの教会服とパンティー@リリカルニコラス 【道具②】支給品一式、デルタギア一式@魔法少女リリカルなのは マスカレード、デルタギアケース@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【思考】 基本:この場から脱出する。 0.ど、どうしたら……!? 1.条件(プレシアに対抗できるだけの戦力+首輪・制限の解除手段+プレシアの元へ行く手段)が揃わない限り首輪の解除は実行しないし、誰にもさせない。 2.船着き場及び客船に向かい当面はそこに引き篭もり情報収集を行う……つもりだったけど……。 3.アンジール及びチンクとの合流、特にアンジールはセフィロス対策の為どうしても合流したい。 4.他の参加者との接触は現状避けるが、味方に出来そうな連中と遭遇した場合は出来るだけ本性を隠し信頼を固めた上で利用し尽くす。 5.デルタギアの各ツールを携帯電話、デジカメ、銃として利用出来るかを確かめたい、変身ツールとしてチンクかタイプゼロに使わせても大丈夫だろうか? 6.首輪や聖王の器の確保、シャマルの首輪を確保したいが……(後回しでも良い)。 【備考】 ※参加者は別々の世界・時間から連れて来られている可能性に至りました。 ※アンジールからアンジール及び彼が知り得る全ての情報を入手しました(ただし役に立ちそうもない情報は気に留めていません)。 ※アンジールの前では『アンジールの世界のクアットロ』のように振る舞う(本質的に変わりなし)。 ※基本的に改心した振りをする(時と場合によれば本性で対応する気ですが極力避けるつもりです)。 ※デュエルゾンビの話は信じていますが、可能性の1つ程度にしか考えていません。 ※この殺し合いがデス・デュエルと似たもので、殺し合いの中で起こる戦いを通じ、首輪を介して何かを蒐集していると考えています。 ※デュエルモンスターズのカードとデュエルディスクがあればモンスターが召喚出来ると考えています。 ※地上本部地下、アパートにあるパソコンに気づいていません。 ※制限を大体把握しました。制限を発生させている装置は首輪か舞台内の何処かにあると考えています。 ※主催者の中にスカリエッティや邪悪な精霊(=ユベル)もいると考えており、他にも誰かいる可能性があると考えています。 ※優勝者への御褒美についての話は嘘、もしくは可能性は非常に低いと考えています。 ※キャロは味方に引き込めないと思っています。 ※キングのデイパックの中身は全てはやて(StS)のデイパックに移してあり、キングのデイパックははやて(StS)のデイパックに入っています。 ※この殺し合いにはタイムリミットが存在し恐らく48時間程度だと考えています(もっと短い可能性も考えている)。 Back Kな魔王/ミライノヒカリ 時系列順で読む Next 余波 Back Kな魔王/ミライノヒカリ 投下順で読む Next 余波 Back 銀色クアットロ(後編) クアットロ Next Aの残光/強襲ソルジャー
https://w.atwiki.jp/nanoharow/pages/209.html
CROSS CHANNEL ◆WMc1TGFkQk 暗き空、白き月、張り詰めた気配、漂う死の匂い……その中に、彼らはいた。 【Channel 1st】 月を眺める男。オールバックの黒髪、妖しく輝く青眼。 既に亡き男。人格のコピー。作り物の体。 その名を、アンジール・ヒューレーと云った。 「ここは……?」 自分は確か、セフィロスを引きつけていた筈。それが何時の間にこんな場所に? 答えは、恐らく「プレシア」と呼ばれた女に攫われたから、だろう。 そして、その場景を思い出し、アンジールは歯噛みする。 少女を一人、爆殺した。 今はスカエリッティという犯罪者と行動を共にしている。『夢』や『剣』と共に託してきたつもりだが、アンジールには未だ『誇り』はある。 あのような行為を赦しておけるわけがなかった。 「プレシア……ッ」 不快感を露わにした声。 いきなり殺し合いをしろ、その為に人を集めた……そんな心境は、全く以て理解不能だ。 しかしとて、備えは必要。そばに置いてあったデイパックを拾い上げ、中身を取り出す。 そして名簿を広げ、アンジールは声を上げた。 「クアットロ、チンク、ディエチ……!?」 驚愕――無理もない。 ここにあったのは、アンジールが守ると誓った「妹達」の名なのだ。 「ク……」 それなのに、むざむざとこんな場所まで連れて来させてしまった。こんな殺し合いの場に。 彼女達は強い。ただの人間や、管理局の魔導師に遅れをとるとは思えない。 しかし、それだけでは拙いのだ。この場には、より凄まじい存在がいる。そう、 「セフィロス……」 かつての良き友人、クラス1stのソルジャー、そして、ディエチの腕を切った男。 そんなセフィロスと、彼女達が出会ったらどうなるかは想像に難くない。 そしてプレシアは、「デス・ゲーム」と言った。そんなゲームはワンサイド・ゲームではならない。 あくまでも、均衡足らずとも、最低限、同等の戦力は用意するべき。 ならば、自分やセフィロスに並ぶ人間がいるのも必然。 そんな人間と、「妹達」が出会ったなら、ほぼ確実に殺されるだろう。 そうさせてはならない。 この手にかかるは命。ならば、 「俺が……守り抜く」 それが、アンジール・ヒューレーの、この場での目標。 決意を胸に、デイパックから刀を引き抜くアンジール。 その耳に、聞き覚えのある声が届いた。 【Channel No.4】 月を見上げる少女。茶髪、眼鏡、メガネ姉――メガ姉こと、クアットロ。 やがて視線は手元の紙――名簿へ。 「ゼロファースト、ゼロセカンド、ルーお嬢様に、陛下。チンクちゃんにディエチちゃん……ふぅん」 月明かりは眼鏡に反射され、瞳は伺えない。しかし、口は確かに『笑み』を形成している。 開始のセレモニー。勝手に呼び出され、拘束されたのは遺憾だったが、無力な命を蹂躙したそれは、堪らなく愉快だった。 プレシア・テスタロッサ――中々な催しごとだ。ただし、こんな時でなければ。 「お祭りにお祭りは重ねちゃいけないのにねぇ~~~」 特殊部隊襲撃、「聖王の器の確保」、地上本部の制圧――大事な祭りごとの直前なのだ。こんな余分は困る。 それに、聖王の器までこの場に集められてしまっている。何事かあってはそれこそ一大事だ。 ただし、逆に言えば、この場で確保出来る可能性がある。自分達は三人。そこまで広くはないこのフィールド。手分けをすれば……。 「と、あーらら……通信はできないのぉ」 内蔵された通信機による通信は不可能。まあ、考えれば当然か。 参加者同士で連絡を取り合われては困るというものだ。 『参加者』。 「ふふふふっ」 自然と笑みが浮かぶ。 この場での弱者は何人いるだろう? デバイスを奪われた魔導師は? 魔法も知らないただの人間は? 対する自分達は戦闘機人だ。固有武装を奪われようと、その身に宿るISは健在だ。 そんな状況で、遅れを取るだろうか? とは言っても、実際何が起こるか分からないので、慎重を期すべきだ。そう、特に戦わすして勝つ為に。 この場に管理局員のような人間は何人いるだろうか。即ち、弱者の保護に出る人間は。 この場に弱き人間は何人いるだろうか。即ち、徒党を組む人間は。 そんな人間の中に入り、内から崩壊させることは、どれだけ愉快なことだろうか。 それに、そんな人間と組んだ方が、「聖王の器」と巡り会う可能性は高いだろう。 これで、行動の方針は決定した。後は誰かにコンタクトを取るだけ。 例えそれが「ゲーム」に乗った存在だろうと、問題はない。それならそれで、襲われたことにして、更なる庇護を求めれば良いだけなのだ。 そうして、クアットロは接触を開始した。 【Channel 13th】 月をねめつける男。月光を反射し、闇に浮かび上がる丸眼鏡。左手が顔を押さえており、表情は分からない。 神父、アレクサンド・アンデルセン。 「…………」 無言だが、それは何よりも有言だった。 即ち――怒り。 呼びつけて、殺し合いをしろと言われた。 よりにもよって、教皇庁に、第十三課に、この自分に。 「巫山戯るなよ……薄汚い売女(ベイベロン)。法皇の命令のつもりか? 売女(きさま)が、魔導師(きさま)が、異教徒(きさま)のようなものが?」 そんな舐めくさった真似をされて、ハイそうですか、なんて具合に殺し合いをするほど、アンデルセンは信心の薄い人間ではなかった。 やるとしては自分達十三課、引いては法皇の為。それは変わりない。 その為ならば、異教徒共に手を貸す命令も致し方ないことだと考えている。 この場での自分の役目は、一刻も早くここを抜け出し、法皇の下へ帰ること。 必要とあらば、異教徒共と手を組むことも辞さない。 ……もっとも、相対して殺意を押さえていられるかは別問題だが。 そんな風に、とりあえずの行動の方針は決定した。 ならば一先ずの装備の確認。 あんな売女から配られたものを使うのは屈辱的なことだが、利用出来るものは、全て利用しなくてはならない。 この場から脱出するために。 「グラーフアイゼンか」 アンデルセンの支給品の一つ目は鉄の伯爵・グラーフアイゼン。 使用者は闇の書の守護騎士ヴィータ。アンデルセンの元・同僚、とでも言うべきか。 デバイスを取り上げられたヴィータはどうしているか、とも思うがまあいい。アンデルセンはグラーフアイゼンに力――法術用――を通わせ、起動させる。 攻撃には向かないが、起動程度になら流用は出来た。 「これは……弾薬」 2つ目では、デバイスのカートリッジ、9mmルガー弾など各種弾薬が30発程詰め合わせになっている。 その中からカートリッジを抜き出し、アイゼンへと装填した。 他に、支給品は確認出来ない。どうやらこの2つだけのようだ。 武器の確認が住んだアンデルセンは、次に地図、そして名簿を広げた。 しかし、突然の来訪者により、それは中断する。 ■ 月光の下、二人の非人間が出会う。 一人目――戦闘機人、クアットロから声をかけた。 言いだしは極めて一般的なものだった。殺し合いに乗っているかどうかとか、真っ当な人間が口にすること。 別に目の前の男に危険を感じなかったし、騙すなら武装がないほうが良い――そんな理由で、クアットロは武器を持たなかった。 ISだってある、たかが人間ごときに遅れを取るようなことはない――自身への自信、それ故の慢心。 しかし、そんなクアットロの問いかけに答えず、男は月を見るばかり。 流石に不審に思ったクアットロが行動に移るより先に、男は言った。「今夜は月が綺麗だな」、と。 そして男はデバイスを構えた。月明かりに十字の影を作るそれは、見覚えがあるものだ。 それから男は、「我々の神を侮辱した貴様らに容赦はせんよ」、と口にする。 初対面の筈だが――と言う言葉が浮かぶより早く、クアットロの体が宙を浮いていた。 落下、それから衝撃。そこで漸く認識する。自分は、目の前の男に殴り飛ばされたのだ、と。 倒れ伏すクアットロに、ゆっくりと男が近づく。その過程で男は話す。 何故、クアットロの事を知っているのかを。 曰わく、貴様らに付いての報告は電話で受けた。曰わく、マクスウェルから容姿の説明を聞いた……etcetc。 どれも全くクアットロの身に覚えのない話だが、男に嘘をついている様子はない。 そうしてクアットロの元に辿り着いた男は、四文字の言葉を口にしながらデバイスを振り下ろし――銀色の大きな魚に受け止められた。 この場に乱入したもう一人の男。こちらも声をかけてきた。どうやらこの男もクアットロのことを知っているようだ。 正直わけが分からないが、この男から害意は感じられない。話を合わせておいた方が良さそうだ。 急に襲いかかられただの、知らない相手だのと説明――殆ど事実――その間も切り結ぶ二人。 どちらも戦闘機人に勝るとも劣らない――勝っているのでは、とさえ感じる動き。 しかし、二人とも顔が苦い。まるで本調子では――本調子を発揮できないとでも言うような。 そうして幾たびの応酬ののち、大魚使いはクアットロに襲い掛かった男を跳ね飛ばし、何やら呪文を唱えて、襲い掛かった男を凍結。 それから男は手を取り、クアットロを抱えるとお姫様抱っこでその場から離脱した。 「クアットロ……すまない。遅くなって」 そう告げるアンジールに知る由はない。 目の前クアットロは、自分の知る存在でないと言うことを。 【一日目 深夜】 【現在地 F-5】 【アンジール・ヒューレー@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】 【状態】健康、消耗中 【装備】レイトウ本マグロ@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER 【道具】支給品一式、ランダム支給品(確認済み:0~2品) 【思考】 基本:妹達(クアットロ、チンク、ディエチ)を守る 1.チンクとディエチを保護する 2.セフィロス…… 【備考】 ※第七話終了~第八話、からの参戦です ※クアットロが自らの知る者でないと気付いていません ※制限に気が付きました 【クアットロ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】左腕に大ダメージ 【装備】なし 【道具】支給品一式、ランダム支給品(確認済:1~3品) 【思考】 基本:この場から脱出する 1.目の前の人間に話を合わせる 2.他のナンバーズともコンタクトをとる 3.聖王の器の確保 【備考】 ※地上本局襲撃以前からの参戦です 「次は殺す、必ず殺す」 凍結から脱出したアンデルセン。 憎々しげに、月夜にひとりごちた。 【一日目 深夜】 【現在地 F-5】 【アレクサンド・アンデルセン@NANOSING】 【状態】健康、消耗中、ダメージ中(回復中) 【装備】グラーフアイゼン(3/3)@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式、各種弾薬(各30発)、カートリッジ(27/30) 【思考】 基本:この場から脱出する。売女(プレシア)の言うとおりにするつもりはない 1.最後の大隊は鏖 2.異教徒共と化け物共については一先ず保留。ただし殺意を抑えられるか……? 3.脱出に必要な情報を集める 【備考】 ※第九話以降の参戦です ※制限に気が付きました ※クアットロが魔法少女リリカルなのはStrikerSからの参戦とは気付いていません ※グラーフアイゼンはアンデルセンを警戒しています Back 少女、その想い 時系列順で読む Next 狂奔する正義 Back 少女、その想い 投下順で読む Next 狂奔する正義 GAME START アンジール・ヒューレー Next 幻惑の銀幕 GAME START クアットロ Next 幻惑の銀幕 GAME START アレクサンド・アンデルセン Next SWORD DANCER meet TYPOON
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/104.html
「カード復活!?おま、そんなの有りかよ!?」 「目には目、歯には歯、反則には反則だよ」 デストワイルダーがガイを捕らえる。そしてタイガの方へと引きずっていった。 その当のタイガはデストクローを構えている。腹に突き立てるつもりだ。 「くそ…殺られてたまるかよ!」 だが、ガイも黙ってやられはしない。一枚のカードを取り出し、バイザーへと放り込んだ。 『ADVENT』 メタルゲラスが再び現れ、デストワイルダーを弾き返す。そして、メタルゲラスがデストワイルダーとの戦闘を始めた。 「く…あれ?あのライダーは?」 ガイがいない。どうやら逃げたようだ。 「帰ったのか…ま、いいや」 タイガはそう言うと、ミラーワールドを出て現実世界へと戻っていった。 「ったく、こいつまだ寝てるよ」 翌朝、眠っている真司の部屋にヴィータが現れる。どうやら起こしに来たようだ。 「さぁて、今日はどうやって起こすかな?」 いや、あの…頼むから穏便な起こし方にしてくださいね? そしてヴィータは何かを思いついたらしく、物置へと向かう。 1分ほど後、一枚の布をマントのように身につけ、ヴィータが戻ってきた。 そして真司の部屋にある椅子や鞄などを積み、その上に乗る。 次の瞬間、ヴィータが跳んだ。そして落下までに布をドリルのように纏い、回転を始める。 どこからどう見てもナイトのファイナルベント技『飛翔斬』だ。起こすのにこんな大技使うなと言いたい。 回転をし始め、真司に向かって落下していき、そして… 「起きろぉ!」「ごはっ!」 直撃である。 「起きねーとギガントで潰しちまうぞー…あれ?真司?おーい…」 少しおかしいと思い、ヴィータが真司を見ると…白目をむいて痙攣していた。泡まで吹いている。 さすがにやばいと思い、青ざめる。そして、 「シャマルゥゥゥ!真司が大変だ!早く来てくれぇぇぇぇ!!」 第十一話『完全復活』 「ヴィータ、さすがにあれはやりすぎやと思うで」 現在の状況を簡単に説明しよう。 真司を起こそうとしてあれだけの状態にしたことは、すぐに八神家全員の知るところになった。 で、正座したヴィータに向かってはやてが説教をしている状態である。 ちなみにシャマルは真司の手当てをしている…あ、目を覚ました。 「…あれ?俺…」 「あ、気がついたのね。えっと…実はかくかくしかじかで」 これで通じるのだから物語とは便利である。 そして事情を理解した真司がはやてを止めに入った。 「まあまあ、はやてちゃん。ヴィータも反省してるみたいだし、その辺で…」 「…せやな。被害受けた真司君もいいって言ってるみたいやし、もうええやろ。 ヴィータ、ちゃんと謝っとき」 そう言われ、ヴィータが真司に向き直る。 「…真司、さっきは悪かった」 「ごめんなさいは?」 横からシャマルが口を出す。 「…え?」 「『ごめんなさい』は?」 「…ごめんなさぁぁぁぁぁい!!」 どう見てもモモタ○スです。本当にありがとうございました。 その数時間後、アースラ食堂。 「しっかし、平和だねぇ」 「確かにな…モンスターはたまに出ることさえ除けばの話だが」 クロノとエイミィは、平和を享受しながら昼食を取っていた。 ちなみに、クロノはきつねうどん、エイミィはカレーを食べている。 「それはそうだけどさ、でも今ならモンスターくらい、結構簡単に倒せるでしょ?なら問題ないって」 「それはそうだが…」 ヴィー!ヴィー!ヴィー! アラートサイレンが鳴り響く。何かが起こったようだ。 「エイミィ!」 「分かってるよ、クロノ君!」 二人揃って艦橋へと急ぎ向かった… と思ったら、クロノが戻ってきて代金を払って行った。どうやら代金を払うのを忘れていたらしい。 そして艦橋にて。エイミィがすぐにオペレーター席につき、オペレートを始める。 「この反応…モンスターじゃない!傀儡兵が多数出現!」 「傀儡兵だって?迂闊だった…最近出ないから忘れていたな」 そう、どういう訳かミラーモンスターが出始めた頃、それに反比例するかのように傀儡兵の出現が減っていったのだ。 そしてここ最近は全く出ないので、みんな忘れていたようだ。 「…と、とにかく、なのはさん達に連絡して傀儡兵の迎撃を!」 指示を出すリンディ。それまでに多少間があったことから、彼女も傀儡兵を忘れていたのだろう。 「ん?なんか外が騒がしいな。真司、お前ちょっと見て来い」 「あ、はい。分かりました。じゃあ行ってきます」 そう言うと真司は、鞄を持って外へと駆け出していった。 そして外が見えたとき…驚きで鞄を落とした。 「何だよこれ…鎧?」 傀儡兵がいる。それも大量に。そして、そのうちの一体が真司へと向かってきた。 「くっ、このっ!」 とりあえず向かってくる傀儡兵を蹴り飛ばし、鏡を探す。だが、それより先に傀儡兵が真司へと迫る。 やられる。真司がそう確信した次の瞬間、向かってきた傀儡兵数体が両断された。 傀儡兵が崩れ落ちた向こう側には、それを行った張本人、フェイトがいた。 「真司、大丈夫?」 「あ、ああ。こいつら一体何なんだ?」 「これは『傀儡兵』。魔力で動く鎧みたいなものかな」 「そうか…こいつらは敵ってことでいいんだよな?」 黙ってうなずくフェイト。それを見た真司は編集部へと駆け戻る。 「遅えぞ真司。で、どうだったんだ?」 「と、とにかく隠れてください!」 真司のただならぬ様子に、ただ事ではないと察する一同。 「まさか…モンスターが出たの?」 「似たようなもんです!じゃ、俺はそいつらと戦ってきますから!」 そして編集部の窓ガラスにカードデッキをかざし、右腕を左上にピンと伸ばす。そして、 「変身!」 Vバックルにカードデッキを装填し、龍騎へと変身。そして窓を開け、一枚のカードをバイザーに装填した。 『SWORDVENT』 窓からドラグセイバーが飛来する。それをキャッチした龍騎はこう言った。 「じゃ、行ってきます」 そう言うと、その開いていた窓から飛び降りた。驚いてその窓に駆け寄る一同。 そこから見えた光景は、傀儡兵の集団と、それを片っ端から両断するフェイト。 そして飛び降りてから着地までの間に傀儡兵をなぎ払う龍騎の姿だった。 「準備はいいね?じゃあ行くよ!」 フェイトが着地した龍騎にそう言い、そして傀儡兵の集団に飛び込んだ。 その頃、翠屋では。 「何て数なの?これじゃキリが無いよ…」 「確かに。これは少し骨だ」 なのは・ライア・ユーノが同じく集団を相手に戦っていた。 この日は偶然翠屋にアリサとすずかが来ていて、この二人となのはの家族を守りながらの戦いとなっている。 それぞれが傀儡兵よりはるかに上の実力があるといっても、数が数。さらに家族や友人を守る必要がある分、多少不利だ。 まあ、それでもかなりの数を減らしたのだが。 パリィィン 翠屋の方から窓が割れる音。傀儡兵が入り込んできたのだ。 「まずいよ!あそこにはまだアリサ達が残ってるのに…」 だが、次の瞬間、その傀儡兵が何かに貫かれた状態で飛び出してきた。 その傀儡兵を貫いている物体に、なのはとライアは見覚えがあった。 「あれは…オメガゼールの杖?何でこんな所に?」 そう、かつて戦ったモンスター『オメガゼール』が使っていた杖だ。 そして、他の傀儡兵の数もどんどん減っていっている。それを遂行しているのはモンスターの群れだった。 「どういう事だ?なぜモンスターが傀儡兵を…」 「…お見事。いい腕ね、佐野さん」 中から聞こえたアリサの一言が、その疑問を解消することになった。 それを言った時、近くから人影が現れる。 「アリサちゃんを守るように、って念を押されてますからね」 その人影が姿を現したとき、モンスターとその『佐野』の関連が分かった。 その佐野とは、銀の仮面に茶の鎧、そして二本の角を持つライダー、『インペラー』だった。 「じゃ、俺も行くか」 そう言うと、インペラーは飛び上がり、数体の傀儡兵を蹴る、蹴る、蹴り飛ばす、蹴り壊す。 着地後、カードデッキから一枚のカードを取り出し、足のギガバイザーに装填した。 『SPINVENT』 そして大きな二連ドリル『ガゼルスタッブ』を手に、さらに片っ端から穿つ。 「ユーノ君、手塚さん、私達も負けてられないよ!」 そう言ったなのはが、レイジングハートを構える。 『Load Cartridge.』 「ディバイィィィン…バスタァァァァァァ!!」 『Divine buster. Extension.』 特大のディバインバスターが、傀儡兵を一気に消し去った。 よくロボットアニメなどで、特大のビームで敵の群れを蹴散らす演出があるが、今のはちょうどそんな感じである。 それから30分ほど後、あらかた片付いたので一度全メンバーが合流していた。 「しかし、久しぶりに現れたと思ったらこの大群、一体何が起こってるんだ?」 クロノが率直な疑問を口にする。その直後、エイミィから念話が入った。 『どうも、その原因が出てきたみたいだよ。 海鳴市の近くの海に、大きな魔力反応。その近くには大物モンスターの反応もある』 「何だって?分かった。すぐに…」 『待って!その魔力反応、そっちに近づいてる。多分戦うことになるんじゃないかな…気をつけて』 「そうか…分かった。みんな聞いたな?」 「いや…俺には何のことだか…」 そう言って手を上げる真司。 「…そうか、ライダーとはいっても、魔力があるわけじゃないんだったな」 そしてクロノが真司に今の念話の内容を説明した。 多分手塚や佐野にも聞こえていなかったのだろう。二人ともその念話の内容を今聞いたような表情をしている。 『大きな魔力反応、来るよ!』 そのエイミィの言葉とともに、翠屋付近の空間が歪んだ。 そして、その歪みから現れたのは…P.T事件の関係者なら知っている、しかしこの場にいるのが信じられない存在だった。 「母…さん…!」 そう、現れたのはプレシア・テスタロッサだった。 次回予告 「プレシアァァァァァ!!」 「勘違いするな、俺はそのライダーを倒しに来ただけだ」 「傀儡兵呼んでたのこいつだったのか!」 「それじゃあ…死になさい」 仮面ライダーリリカル龍騎 第十二話『プレシア・テスタロッサ』 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/aquarianagetcg/pages/4056.html
Break Card [[E.G.O.]] 1F/2C [[ミスティック]]/[[ワーカー]] 3/2/2 [[シールド]]/[[ドロー]]+1 このカードが[[セット]]された場合、≪あなたの[[デッキ]]≫から“高町なのは”のネームを持つ[[ブレイクカード]]1枚を手札に加えることが可能。 No.EX0248 Rarity UC Illustrator 藤真拓哉 Expansion エキストラエクスパンション 魔法少女リリカルなのはViVid カード考察
https://w.atwiki.jp/nanoharow/pages/313.html
【魔法少女リリカルなのは 闇の王女】 コルト・ガバメント ギンガ・ナカジマに支給。全7発。 アメリカ軍の一部の特殊部隊で使用されている。墓参りの際になのはが所持していた拳銃。 ルーテシアのカレー 万丈目準に支給。 ルーテシアがなのはに食べさせるために、でたらめにスパイスを混ぜて作ったカレー。 凄まじく赤く、凄まじく辛い。 【ゲッターロボ昴】 S W M500 武蔵坊弁慶に支給。 神隼人が護身用として所持している銃で「.454カスール弾を超える弾薬を撃つ事のできるリボルバー」を開発目的として作成された超大型回転式拳銃。 黒いフレームに敷島と銘打ってある。 杖 クアットロに支給。 金属製の長い棒。2メートルはあり、打撃武器としては非常に優秀。 ただし、中身がぎっちり詰まってるので非常に重い。 童子斬丸 殺生丸に支給。 鬼を斬る刀と言われる妖刀。凄まじい頑丈さを誇る(ゲッター線の影響下にある為)。 どんな防御術式も貫通する力を秘めるが、その力を発揮するには人間の生き血が必要。 OVAでは竜馬が真の力を解放していたが、ロワでは生き血を捧げれば誰でも使用可。 扱いきれるかは本人次第。 白い黄金の装飾と宝玉のはめ込まれた鞘に収まっている大太刀。
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/237.html
あの頃のあたしは弱くって、ただ、泣くことしか知らなかった。 新暦0071年のミッドチルダ空港火災。 逃げ遅れて、火にまかれて…私はただ、悲鳴を上げた。 お父さん、お姉ちゃん…おかあ、さぁん。 助けてほしくて、やけつきそうな喉で叫んで、でも、誰もいないのがわかってて。 やっぱり、あたしは泣くだけだった。 そのときだったんだ、初めて見たのは。 あの人の背中と、拳を。 魔法少女リリカルなのはStrikerS 因果 雪に埋もれたはずだった。 鬼へと堕ちた父殺しの兄、散(はらら)が滅技、螺旋(らせん)を前に、 因果(いんが)を極めることあたわず破れたわが身は谷底に埋葬を完了されたはずであった。 では、ここは地獄であろうか? 八大地獄が一、焦熱地獄なれば燃え盛る炎にもうなずけようが、否である。 「…声」 天魔外道の行き着く果てたる釜の中、無垢なる叫びが聞こえる道理があろうか? 助けを求めている。 父を、母を、家族を求めて泣いている! 葉隠覚悟(はがくれ かくご)は立ち上がった。 目、鼻、耳より体液噴出! その躯もはや痛みさえ訴えず。 (わが体内、完膚無きまでに螺旋到達せり 臓器破損! 毛細血管に至るまで断裂! 以上より算出せるわが余命…) 三 十 分 也(なり) 委 細 承 知 覚 悟 完 了 鍛えしわが身のことごとく、これ牙なき人の剣なり。 力無くして泣く人の、祈りの声があらばこそ! 少女の悲鳴、聞こえたる位置は、あちら。 壁を抜き進むべくして固めた拳より冷静を回復。 (当施設は炎上中! 無軌道な破壊は全体の倒壊に直結 さすれば助かるものも助からぬ!) 「爆芯靴!!」 噴進装置、戦略兵器が機動の要。 轟音発し、焔(ほむら)を裂いて進むなり。 背部、脚部ともに加速良好! 我が身を鎧う零(ぜろ)へ、心中にて敬礼。 おまえのおかげで生あるうちに少女を救出できよう! 侵略戦争の鬼畜が証明にして、三千の英霊の血涙やどる、魂の結実…強化外骨格、零(ぜろ)。 おれはおまえと同じ涙を流すときめたのだ! そして理不尽に侵される生命など、あってはならぬ。 ならば立ち向かおう。 なんだか知らぬが、この火事という理不尽! 無力な少女が猛火の中とり残されて泣き叫ぶ大理不尽! 「当方に救出すべき未来あり!」 零(ぜろ)の頭はどこに行ったのか。 兄との最後の一撃を前に取り外してはいたが、それからどこへ行ったのか… 少し心配にはなるも、気を回す余裕、今はなし。 少女の姿、眼前にとらえたり。 その頭上に倒れ来る石像、理不尽の大権化なり! 今こそ示すべし。 踏み込み、そして跳び――撃つ!! 「 因 果 !!」 石像、爆散す この少女に 死なねばならぬ理由 なし その…わたしも、なんて言ったらいいのか。 あれ自体には、あまり驚かなかったんだ。 わたしと同じで、陸士の人が偶然居合わせてくれたんだなって。 すごく仰々しいバリアジャケットだな、とも思ったけれど、 そんなことより、あの子が助かった方が、ずっと「よかった」って気持ちだったから。 でも、近づいてみてからはびっくりした。 だって、鼻とか耳だけじゃなくて、目からまで血が流れていたから。 もう、ほとんど死にかけだって、近づかなきゃわからなかったんだよ? そのくらい毅然としてて、痛みも辛さも全然顔に出さなくて。 「この娘を頼む」 なんて言って、また火事の中に走っていこうとしたものだから、 わたし、後ろからバインドしちゃったんだ。 それしかなかったんだもの。 それでやっとお話を聞いてくれたときは安心したなあ。 「死にかけのあなたより、わたしの方がずっとみんなを探せるよ。 それだったら、あなたがこの子を連れて行った方が、あなた自身も助かっていいと思うんだけどなあ」 「…了解した。 ついてはこの捕縛の撤去を望む」 「うん、がんばってね。 死んだらやだよ」 あとは知っての通りね。 わたしのディバイン・バスターで道を作ってあげたから。 神 聖 巨 砲 ディバイン・バスター 敵の正体わからざればその矛先、大砲の砲門と思うべし。 幾度となく父、朧(おぼろ)に聞かされた言葉であった。 それをもってしてもこの威力… 杖より放たれた光条一閃にして天に穴穿つ大破壊! 葉隠覚悟は瞠目せざるを得なかった! まさしく戦略級! 大日本帝国最後の超々弩級戦艦大和の46サンチ砲でさえ、ここまでの真似をなしえるだろうか? が、問題ない。 力におぼれた者の傲(おご)り、この女性には見えず。 正義に威力は関係なし! それよりは託された信頼に応えるべし。 「感謝する」 「わたし、高町なのは、あなたは」 「葉隠覚悟、そして、強化外骨格、零(ぜろ)」 「…インテリジェント・デバイス、レイジングハート」 「Nice to meet you. Good luck」 名乗りと同時に各々の方角へ離脱。 斜め上へ穿たれた穴、三角跳びにて攻略せん。 その前に、腕の中の少女に伝えておかねばならぬ。 「きみの名は何という?」 「あぅ…う…」 「これより脱出する。 舌を噛まぬよう顎を引いていなさい」 「ま、待って…おねえちゃんは? お姉ちゃん、まだ中にいるの?」 脈打つ心臓に冷水きざす。 少女の家族、ともに取り残されている可能性、大。 「すまない、私にはわからぬ」 「お願い、お姉ちゃんを助けて、助けて」 「了解した。 だが、きみを安全な場所に送り届けてからだ」 「お姉ちゃんが死んじゃう!!」 少女の涙が零(ぜろ)の胸を打つ。 ――この少女に味わわせてはならぬ! かけがえなき人を失う痛み、身をもって知ったばかりであろう! 「一分以内にきみの安全を確保しよう。 その後、きみの姉上を間違いなく救出する!!」 爆芯靴、最大出力! 飛び上がり、壁を蹴る衝撃はすべて我が身へ。 父上、感謝いたします。 あなたより伝授された零式防衛術が、一人の少女を救い、 今一度内部へ突入する時間を啓(ひら)こうとしています… あのとき、わたしは直感的に思ったんだ… 「今日見たこの空を、絶対に忘れることはないだろう」って。 血だらけで、ごつごつで、ひやひや冷たかったけど、 それでも、どうしようもなく暖かかったあの手に抱かれて飛んだ空は… そして、見上げたるは見知らぬ天。 地平線の彼方まで続く高層建築群は、覚悟にとっては見慣れぬ光。 それは、人の営みの色。 見渡す限り、延々と拡がる… 21世紀初めの大破壊はどうした? ここまで復興した楽園など、聞いたこともない。 だが、それよりも今は。 「前方に装甲車発見、指揮車と思われる」 腕に抱いた少女に負担のかからぬ最大速度で目前に到達。 直後、傍らより飛び出してくる男あり。 「スバル、スバルじゃねえか」 「スバルとは、この少女の名か」 「おれの娘だ…」 ひったくられた。 間違いなく父であろう。 同時に、明るいところまで来て気づく。 「スバルさん」 「…う、うん」 「ご家族に買ってもらった大事な服を私の血で汚してしまったこと、申し訳ない」 頭を下げる。 弁償など今の自分にはできぬから、これがせいぜいなのが情けない。 「…な、なぁに言ってやがんだ、おまえは」 彼女の父から上がった声は、呆れそのものであった。 「ンな死にそうなザマでカッコつけてる場合かよ! おまえどこの所属だ? 誰かー、衛生班呼んでこーい」 「お気持ちだけ、ありがたく頂戴いたします」 固辞せねばならぬ。 治療など、している時間なし。 スバルの言う通り、今この間にも彼女の姉が危険! 「おまえはバカか! 死ぬぞ」 「スバルさんと約束しましたゆえ… お姉さんの救出に向かわねばなりません」 「お姉…ギンガか、ギンガのことか?」 「ギンガさんというのですか、お姉さんは」 「確かにまだ中に取り残されているらしい…おれとしても心配でならん。 だがな、だからといって半死人を手伝いに駆り出すようなゲスな父親にはなりたかねえよ。 だからな…行くな、おまえ!!」 (…父親だ) 男の態度は覚悟を打った。 どうりで真っ直ぐな子が育つわけだ。 一人では泣き叫びながら、伸ばされた助けの手に「姉を助けてくれ」と叫ぶ少女が! なんということだ。 なおさら征きたくなった! 征かねばならぬ! 「では私はここから逃げ出します。 そして、勝手に征く!」 「は、はぁ?」 「御免!!」 たとえ、あの高町なのはが探していようと、 間に合わぬものの現れる可能性ある限り、死力尽くして屋内探索せん!! だが跳躍の間際、わがマフラーの端をにぎりしめるものあり。 「…スバルさん、危険だ。 放してほしい」 「もういいよ」 「もういい、とは?」 「お兄さん死んじゃう。 無理したら死んじゃうよ。 お姉ちゃんは…お姉ちゃんは、あたしが助けに行くから! だからお兄さんここにいて!」 覚悟の胸中、さらなる熱いものが通り抜けた。 …この子は、私のために涙を流してくれている。 そして、勇気を振り絞って、自らあの地獄に戻ると! 決意千倍、わが身すでに必勝。 父の言葉、今、真に理解せり。 無垢なる人の思いと言葉が、この身にありえぬ力をくれる!! しゃがみ、スバルに視線を合わせ、その頭をやさしく撫でた。 「心配せずに、待っていなさい。 私も、きみの姉上も、無事にここに戻る」 「絶対だよ、ウソはイヤだよ…」 「男に二言はない!」 嘘をつく私は地獄行きだ。 だが彼女の姉はそうはいかん! 今度こそ征く。 わが余命、残り十五分なり。 この父と娘がくれた力を勘案すれば、二十分なり! 「ちょっと待つですーっ」 「む…?」 面妖! またも振り向かされた先にいたのは…小人! 空を飛ぶ女性に先ほど出会ったばかりであるからさほど驚かぬが。 「あ、今、ちっちゃいって思ったですねー?」 「申し訳ない」 「いいです、ホントのことですから。 それよりギンガさん、見つかったですよ。 たった今」 「本当か!」 「本当です。 だから行かなくていいですよ。 おとなしくここで治療を受けるです」 「…だとよ。 さっさと医者にかかんな。 落ち着いて礼も言えねえじゃねえか」 小人の少女に相槌を打つのはスバルの父。 それだけ聞ければ安心というもの。 救出したのはきっと先に出会った、白を纏う女性…高町なのはであろう。 彼女は彼女の役目を果たしたのだ! 「…スバルさん」 「え…あ、はい」 「よかったな、姉上は無事だ」 安心した途端、意識が手から放れていった。 大理不尽、撃退せりといえども、まだ火事は終わらず。 戦わねばならぬと身を奮い起こすが、亡者に足を引き込まれるようにして堕ちてゆく―― 螺旋(らせん)、ついに極まれり。 見事だ、兄上… 「あっ、コラッ、倒れんじゃねえ! おーい担架っ つか…ぐおおおっ重てえっ なんだこのバリアジャケット! 気絶してるんならほどけろよな! …いや、デバイスか? こいつは…」 そこで、やっとあたしは気がついたんだ。 この人は、とっくの昔に限界を超えていたんだな、って。 それなのにこの人は、痛さも辛さも全然顔に出さないで… あたしにやさしく、ほほえみかけてくれたんだ。 弱いのをやめようと思ったのは、このときだった。 倒れたそばで泣きながら、ひたすらに願った。 このひとみたいに、強くなりたい。 そしてあたしは、あの人の拳を追い始めた。 心の奥にやきついた、くじけない拳を。 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanoharow/pages/451.html
未知あるいは既知との遭遇 ◆HlLdWe.oBM D-5を流れる川に架かっている一本の橋。 現在その橋のすぐ傍にいる八神はやての目の前では何とも珍妙な光景が繰り広げられていた。 それはあちこち破けた制服のせいで素肌が所々曝け出されたクアットロがシャマルに抱きついているという光景。 どう考えてもはやてが元いた世界では到底ありえない光景だ。 しかもクアットロは何かに怯えたように泣き喚きながら色々と丸出しという状態。 詳しく言うと左胸とか太腿とかお尻とか――補足説明すると下着を付けていないのでアソコもばっちり見えている状態だ。 はっきり言って色々と不味い。 この場にいるのがはやてとシャマルとクアットロの女性3人だけだとしても流石に不味い。 殺し合いの場でいろいろ露出するとは無防備もいいところ、そうでなくても精神上どうかと思われる状態だった。 「え、あぁ、クアットロ。シャマルから色々と話は聞いているけど……その、なんや、まずは着替えよっか」 「……そ、そうですね! ではお言葉に甘えて――」 さすがのクアットロも今の格好の不味さを感じて、慌てて座り込んで自分のデイパックからナンバーズスーツを取り出そうとした。 その様子はとてもあの冷酷な策士であったクアットロとは思えないほど拍子抜けするものだった。 クアットロの傍で様子を見ているシャマルは勿論の事、はやてでさえクアットロに対する警戒心を僅かながら緩めてしまう。 だが、それこそがクアットロの狙いだという事にはやてもシャマルも気付けなかった。 二人は「わざと無様な姿を晒して二人の警戒心を解く」というクアットロの策に見事に嵌っていた。 策士クアットロは心中で自分の迫真の演技を褒めつつ、騙されている二人に侮蔑の言葉を投げかけるのだった。 だが実際は演技ではなくキャロへの恐怖から来るものが多分に含まれていた事にこの時クアットロは気付く由もなかった。 寧ろ気付かないふりをしていたと言う方が正しい。 それを認めてしまえば自身のプライドに傷が付く事を無意識の内に察していたからだ。 そんな事は露知らず、ふとシャマルはある事を思い出してクアットロに声をかけた。 「あ、クアットロ。確かはやてちゃんの支給品の中に服があったけど」 「え、そうなんですか?」 「ん? あ、そういや入っていたなあ。でも一つはスモーカー大佐のジャケットやし、着るとしたらもう一つの方やけど……」 もう既に半ばナンバーズスーツを取り出していたクアットロだったが、その申し出は有難かった。 はやては知らないが、今クアットロが陵桜学園の制服に身を包んでいるのは要らぬ諍いを生まないためだ。 だからクアットロははやての持っているという服に興味を持ったように見せかけるために、とりあえず気になった事を聞いてみた。 「誰ですか、そのスモーカー大佐って?」 「さあ、知らん。オプションで煙草と海楼石付き十手が付いているから、どこかの軍人さんかも――」 「女、今『海楼石』と言ったか?」 それは突然の乱入者だった。 声が聞こえた方に視線を向けると、そこには一人の男が立っていた。 しかしその格好は上半身裸で雷様のような太鼓を背負い、おまけに耳が異様に長くて頭にはターバンを巻いている。 (なんや、あの変な格好の人? 自分の姿を何とも思ってないんか) 絶賛半裸状態のクアットロを横目に見つつ、はやてが抱いた第一印象はそれだった。 突然の乱入者に唖然とするばかりだったが、ようやく質問されたのはどうやら自分らしいという事に一泊遅れて気付く。 クアットロを早く着替えさせないと色々と不味いが、はやての中のクアットロは未だに要注意人物のレッテルが健在。 だからこの状態が続いてもあまり気の毒には思わなかった。 とりあえず無言の状態が続く事はあまり好ましくないようなので無難に答えを返しておく。 「ええ、確かに海楼石を持っていますが? えっと、私は八神はやてって言うんですけど、あなたの名前は?」 「神・エネルだ。冥土の土産に刻んでおけ」 「それってどういう意味――ッ!!」 はやての質問が最後まで言い終わらぬうちにエネルの答えは出ていた。 その答えは神の裁き≪エール・トール≫。 エネルの手が光輝いて放電し始めたと思ったら既にこちらに向かって雷が走っていた。 (ちょっ、こんな攻撃ありかいな!?) エネルの理不尽な雷撃への愚痴も虚しく、はやて達はあまりにも突然の危機を回避する術を持っていなかった。 このままではまず確実に雷の直撃で重傷、最悪感電死という結末が容易に想像できる。 迫りくる脅威に対して否定するかのように顔を伏せて目を閉じてみるが、そんな事で状況が変わる訳がない。 光の速さで襲いかかる攻撃に対抗策を考える時間も与えられないまま、無情にも雷ははやて達に―― 「――はやて!?」 ふと自分の名前が呼ばれた事に気付いてはやては伏せていた顔を上げて、恐る恐る目を見開いてみた。 そこにいたのは一人の男性。 銀の胸当てと黒のロングコートを身に付けて右肩には漆黒の片翼。 そしてリインフォースのように綺麗な銀髪。 「…………」 はやては目の前の男に対して言葉を返そうとして―― 「てめえ、覚悟しろ!!!」 聞き慣れた鉄槌の騎士の叫びも虚しく―― ――全ては光の中へ消えていった。 ▼ ▼ ▼ それは偶然だった。 もしもはやて達のいた場所が川辺でなかったら。 もしもはやてが海楼石という言葉を口にしなかったら。 もしもはやてがエネルの異常性を考慮した受け答えをしていたなら。 もしもエネルのエール・トールを放つタイミングがずれていたなら。 もしもヘルメスドライブの転移先がここではなかったら。 もしも転移してきたのがセフィロスとヴィータでなかったら。 結果は自ずと違うものになっていただろう。 だが起こってしまった事象を覆す事は出来ない。 この一瞬の邂逅がそれぞれに与える影響は大なり小なりある。 それがどうなるかはこれからの行動次第だろう。 ▼ ▼ ▼ 「あれで死んだか。死体は残すつもりだったがな」 そう呟くのは先程はやて達にエール・トールを放った神・エネルだ。 当初エネルは神社へ向かおうと考えていたが、地図を見ると神社へ行く方向から少し離れると別の施設がある事に気付いたのだ。 その施設はHELLSING本部という名前であり、何らかの組織の本部である事は容易に理解できた。 それならば人が集まっているのではないかと期待して寄り道するべくエネルは一旦HELLSING本部へ向かったのだ。 だが外から心網を使った結果、予想に反して本部には誰もいない事がすぐに分かった。 無駄な寄り道だったと軽く失望して当初の予定通り神社へ向かおうとした時、エネルの心網がはやて達三人を捉えた。 これは幸いとばかりに向かってみると、気になる単語が茶色の服を着た青海人の女から聞こえてきた。 ――『海楼石』、と。 海楼石とは某世界に存在する鉱物の一種である。 どうやら固形化した海と言われているが、詳しい事は杳として知れていないが、海楼石にはある特性がある。 それは「悪魔の実」の能力者の力を一時的に奪うというものだ。 以前エネルは海楼石のせいで不意を突かれて仮死状態に追い込まれた経験がある。 さすがに同じ轍を踏む気はないが、そのような神を蔑ろにする存在をエネルは許す気はなかった。 だから海楼石を持っていたはやてを抹殺しようとしたのだ。 死亡を確認するために死体は残る程度に手加減したつもりだったが、どうも手違いで川に落ちていったらしい。 エール・トールが直撃する寸前に何か不自然な爆発が起こったような気もするが、今となっては確かめる術もない。 だがあの距離で自分の雷撃を受けた上に川に落ちればまず生存する事はない。 そうエネルは判断して、一路予定通り神社へと向かうのだった。 【1日目 昼】 【現在地 C-5】 【エネル@小話メドレー】 【状態】疲労(中)、胸に大きな打撲痕 【装備】ジェネシスの剣@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使 【道具】支給品一式、顔写真一覧表@オリジナル、ランダム支給品0~2 【思考】 基本:主催者も含めて皆殺し。この世界を支配する。 1.神社に向かい、狩りを楽しむ。 【備考】 ※心網の索敵可能範囲がおよそ1エリア分である事に気付きました。 ※漆黒の鎧を纏った戦士(=相川始)、はやてと女二人(=シャマルとクアットロ)を殺したと思っています。 ※身体に掛けられた制限及びゴロゴロの実の能力を駆使しても首輪を外せない事に気付きました。 ※なのは(StS)の事は覚えていますが、彼女と会ったのが何時何処でなのかは覚えていません。 ※なのは・フェイト・はやての3人が、それぞれ2人ずついる事に気付いていません。 ▼ ▼ ▼ E-4を東西に流れる川のすぐ傍の民家で一人の戦士が一時の休息に身を休めていた。 銀髪で黒ずくめの戦士の名はセフィロス。 そして彼の右腕に装着されているデュエルディスクには現在1枚のカードがセットされている。 『治療の神 ディアン・ケト』 それは「自分は1000ライフポイント回復する」という効果の魔法カードであった。 この会場内ではデュエルモンスターズのカードはデュエルディスク無しで使用する事ができるが、一度使用するとそのカードは消えてしまうようになっている。 だがデュエルディスクにセットして使えば何度でも使用する事は可能である。 もちろんセフィロスがそんな事を知っているはずがない。 このカードも元々はシグナムの物であったが、今の今までメモ帳の隙間に挟まっていてデイパックの中に眠っていたものだ。 セフィロスもはやてもまさかそんな所に挟まっていたとは知らずに今まで発見されなかった。 川に落ちた時にデイパックを一つ失くしたので中身を確認するために探ってたまたま発見されたのだった。 とりあえず調べた結果、流されたデイパックはセフィロス自身の物だと判明した。 だがそんな事は今のセフィロスには些細な事だった。 「そんなバカな……『はやて』は死んだはず……」 復讐鬼となったセフィロスは現状を理解できないでいた。 確か自分はついさっきまでアーカードとの死闘に明け暮れて、そこに横槍を入れてきたヴィータを殺そうとしていたはずだ。 だが次の瞬間には視界が一変して川辺にいた。 しかも目の前には死んだはずの八神はやての姿があった。 (いや、あの『はやて』こそ本当の『はやて』か――だが、私が死を見届けた『はやて』も『はやて』――) セフィロスは混乱した。 『はやて』は『はやて』ででも『はやて』ではなくてやはり『はやて』で…… セフィロスにとっては死んだ『はやて』も『はやて』、先程出会った『はやて』も『はやて』、ミッドチルダで共にいた『はやて』もまた『はやて』であった。 どの『はやて』が本当なのか咄嗟に判断できないでいた。 だが一つだけ確かな事がある。 あの時、セフィロスは迫り来るエール・トールに対して反射的に妖艶なる紅旋風を放って相殺を図った。 無論自身に迫る攻撃への対処という理由もあったが、それにも増してセフィロスの中にあった感情は単純だった。 『はやてを守りたい』 既にジェノバの思考に移行したセフィロスにとってそれはあり得るはずもない感情だ。 だがセフィロスは知らず知らずの内にそう思っていた。 結果として攻撃が相殺された余波で川辺にいた者達は全員川に投げ出されたが、重傷にはなっていないはずだ。 そんな事を考えて少し安心している自分に気付き、セフィロスはまた混乱する。 今のセフィロスは片翼の展開と幾度となく魔力を消費してきたせいか身体は限界に近かった。 回復中とは言うものの、すぐに動く事は難しいだろう。 幸か不幸か片翼の天使にはどうやら気持ちを整理する時間が必要のようだ。 【1日目 昼】 【現在地 E-4 川の近くの民家】 【セフィロス@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】 【状態】回復中、疲労大、魔力消費大、顔面・腹部負傷小、額に打撲、全身にダメージ(中)、全身ずぶ濡れ、ジェノバ覚醒(ジェノバとしての思考)、困惑 【装備】憑神刀(マハ)@.hack//Lightning、デュエルディスク@リリカル遊戯王GX、治療の神 ディアン・ケト(ディスクにセットした状態)@リリカル遊戯王GX 【道具】支給品一式×2、トライアクセラー@仮面ライダークウガA’s ~おかえり~、正宗@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使 【思考】 基本:全ての参加者を皆殺しにする。 1.あの『はやて』はいったい――? 2.今はまだアンジールは殺さない。ぎりぎりまで生かし、最高の痛みと苦しみを味わわせる。 3.アーカード、仮面ライダーの娘(=柊かがみ)、アレックスは優先的に殺す。 【備考】 ※身体にかかった制限を把握しました。 ※アレックス(殺し合いには乗っていないと判断)が制限を受けている事を把握しました。 ※参加者同士の記憶の食い違いがある事は把握していますが、特に気にしていません。 ※トライアクセラーで起動するバイク(ビートチェイサー2000@仮面ライダークウガA’s ~おかえり~)は立体駐車場に埋もれていると思っていますが、運転はできないので無理に探すつもりはありません。 ※「仮面ライダーリリカル龍騎」における仮面ライダーの情報を得ました。 ※デスゲームと仮面ライダーの殺し合いに関係があるのではないかと思っています。 ※アーカードの弱点が心臓である事を見破りました。 ▼ ▼ ▼ 「……ん、ここは?」 まず目に飛び込んできた景色は四角い天井。 それが目覚めたシャマルの最初に目にした光景だった。 そして次に自分がベッドに寝かされている事に気付かされる。 「私は、確か……」 「シャマル! よかった、気が付いたんやな」 「は、はやてちゃん!?」 起きたばかりのシャマルに真っ先に声をかけたのは彼女の主である八神はやてであった。 だがその姿はシャマルが見慣れた機動六課の茶色の陸士制服ではなかった。 今のはやてが着ている服装は聖王教会のカリムが着ている漆黒の教会服だった。 (なんではやてちゃんの服が――確か、私達はエネルとか言う人に……) はやての無事を確認したシャマルの脳裏に徐々に記憶が蘇ってきた。 エネルという自称神が雷撃をこちらに放ったあの時。 シャマルは自らの身を顧みずにはやての盾となるべく、死を運ぶ雷撃の前に飛び込もうとしていた。 だがエネルの攻撃はあまりにも唐突に行われたものでシャマルがどう頑張っても間に合う可能性はゼロに近かった。 それでもシャマルは一縷の可能性に賭けて懸命に足を動かして全速力で走った。 予想外な事が起こったのはその時だった。 突然周囲の空間が歪んだと思ったら見知らぬ人と見知った人が一人ずつ現れたのだ。 見知らぬ人は銀髪の男で、見知った人は意外にもヴィータであった。 そして銀髪の男は雷撃を防ごうとして、ヴィータは「てめえ、覚悟しろ!!!」と言いながらこちらに向かってきた。 もしかして後ろにいたクアットロの存在に気付いて斬りかかろうとしたのか。 そんな事を頭の片隅で認識しながらはやてに飛び付いたところでシャマルの記憶は途切れる。 「はやてちゃん、ここはいったい、それにその服は?」 「ああ、ここはなのはちゃんの実家の翠屋。で、この服は私の支給品や。ほらシャマルにも見せたやろ」 はやての説明によると、ここはF-2にある翠屋2階に位置するなのはの部屋。 あの時自分達は爆発の影響で川に投げ出されて下流に流されてしまったらしい。 自分とはやてとクアットロは幸運にも流れ着いた場所がほぼ同じ場所ですぐに合流できたのだ。 しかもどうやら自分ははやてに抱きついて入水の衝撃を一身に受けたために今まで気絶していたようだ。 はやて達はひとまずどこか近くに休む場所がないか探したところ、この翠屋に白羽の矢が立って今に至る。 はやての服が変わっているのは川に落ちたせいで服装一式がずぶ濡れになったためだった。 因みにカリムのパンティーが想像よりも大きくて驚いた事ははやてだけの秘密にしている。 そしてそれは自分も同様で自らの服装を改めて見ると、ややサイズの大きなワイシャツに紺のズボンという服装だった。 胸元が若干肌蹴ているのは気のせいか、あるいは目の前の主の性癖か。 「ちょっと気絶している間に着替えさせてもらったで。ふふん、相変わらずシャマルのプロモーションは惚れ惚れしたわ~」 「え、はやてちゃん!? からかわないでください!!」 更に詳しく聞くと自分が着ている服は高町士郎の物らしく、どうも急いでいて間違えて着せてしまったという事だった。 元々着ていた服は現在1階で乾燥機にかけていて、クアットロはその見張り兼引き続き家捜しの最中と聞かされた。 「でもホンマ目が覚めて良かったわ。うぅ、良かった……」 「もしかして、はやてちゃん……ずっと私に付きっきりで――」 「当たり前やん。元いた世界が違っても私達が家族って事に変わりないよ」 「……はやてちゃん」 主の目にひっそりと浮かぶ涙を見てシャマルは何も言えなかった。 その胸の中にははやてへの感謝とはやてと巡り合えた事への感謝で満ち溢れていた。 ▼ ▼ ▼ さて、これで万が一にでもシャマルが私を疑う事はないやろ。 で、問題はこれからどう動くかやな。 ヴィータ、銀髪の男、あとはエネルとか言う変人と海楼石の関係と考えなあかん事多いな あんだけ問答無用とばかりに攻撃してくるって事は海楼石を恐れているんやろか。 ま、いざとなればシャマルやクアットロにも考えるの手伝ってもらうか。 それくらいは役に立つやろ。 まあ、余計な詮索されんように私のとこの守護騎士達と妖星ゴラスの関係は話さん方がいいか。 とりあえずその辺りは上手く誤魔化しとこう。 そういや橋の所で拾ったデイパックの中身もきちんと確認しとかな。 あの時はゆっくり見ている暇なかったし、ベルトの説明書をちょっと読むぐらいやったな。 でもあのベルト、スマートブレイン社製とか書いてあったけど、それってここに本社あるやん。 これだけの物が作れるって事はもしかして相当な技術あるんやろか。 スマートブレイン本社。 首輪の解析に役立つかもしれんな。 それにしても「当たり前やん。元いた世界が違っても私達が家族って事に変わりないよ」って我ながら白々しいなあ。 ま、精々勝手に勘違いしといてくれたらいいわ。 実のところ私はそんな事これっぽちも考えていないんよ。 ここに私の本当の家族も仲間もいない。 だから皆を利用してプレシアの技術を手に入れて元の世界に帰る。 守護騎士の皆も、なのはちゃん達も、あの銀髪の男も、徹底的に利用する。 そして、私が助けてみせる、私の家族を、この手で、きっと―― ――だから皆覚悟してな。散々使い倒して、ボロ雑巾のように捨てたるから。 【1日目 昼】 【現在地 F-2 翠屋2階なのはの部屋】 【八神はやて(StS)@魔法少女リリカルなのはFINAL WARS】 【状態】健康、スマートブレイン社への興味 【装備】カリムの教会服とパンティー@リリカルニコラス、ツインブレイズ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式×2、スモーカー大佐のジャケット@小話メドレー、主要施設電話番号&アドレスメモ@オリジナル、医務室で手に入れた薬品(消毒薬、鎮痛剤、解熱剤、包帯等)デルタギア一式@魔法少女リリカルなのは マスカレード、デルタギアケース@魔法少女リリカルなのは マスカレード、ランダム支給品0~1(元かがみのもの) 【思考】 基本:プレシアの持っている技術を手に入れる。 1.一段落付いたらクアットロから事情を聞き、銀髪の男やヴィータの事も含めてこれからどうするか考える。 2.ある程度時間が経ったらメールの返信を確かめる。 3.もう1人の「八神はやて」を探し、その後他の守護騎士を戦力に加える。 4.クアットロを利用する(おかしな行動は絶対にさせない)。 5.キングの危険性を他の参加者に伝え彼を排除する。もし自分が再会したならば確実に殺す。 6.首輪を解除出来る人&プレシア達に対抗する戦力の確保。 7.以上の道のりを邪魔する存在の排除。 【備考】 ※プレシアの持つ技術が時間と平行世界に干渉できるものだと考えています。 ※ヴィータ達守護騎士に優しくするのは自分の本当の家族に対する裏切りだと思っています。 ※キングはプレシアから殺し合いを促進させる役割を与えられていると考えています(同時に携帯にも何かあると思っています)。 ※ヴィータと戦う事になったのはキングが原因だと断定しました(その事を許すつもりはありません)。 ※転移装置は「参加者を分散させる為の罠」だと思っています。 ※自分の知り合いの殆どは違う世界から呼び出されていると考えています。 ※放送でのアリサ復活は嘘だと判断しました(現状プレシアに蘇生させる力はないと考えています)。 ※プレシアの目的はアリシア復活で、その為には普通の死ではなく殺し合いによる死が必要だと考えています。 ※プレシアには他にも協力者がいると考えています。具体的には並行世界を含めて闇の書事件やJS事件関係者がいると考えています。 ※施設には何かしらの仕掛けが施されている可能性があると考えています。 ※キングのデイパックの中身を全て自分のデイパックに移して、キングのデイパックも折り畳んで自分のデイパックに入れています。 ※図書館のメールアドレスを把握しました。 ※図書館にてシャマルと簡単な情報交換を行いました。 ※クアットロは善人のふりをしてシャマルを騙していると思っています(多少は信頼しかけている)。 ※エネルは海楼石を恐れていると思っています。 【シャマル@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状況】健康、はやてへの感謝の念 【装備】高町士郎のワイシャツとズボン@魔法少女リリカルなのは 【道具】支給品一式、白衣(若干血で汚れてる)、ガ・ボウ@ARMSクロス『シルバー』 【思考】 基本:はやてを含めた、全ての仲間を守り抜く。 1.はやてちゃん、ありがとう。 2.落ち着いたらクアットロから事情を聞く。 3.はやて(A's)と合流したなら全力で守り抜く。機動六課の仲間達とも合流したい。 4.十代のことが心配。 5.そういえばヴィータちゃんと一緒にいた男の人はいったい? 【備考】 ※クアットロが別世界(JS事件後に更生した世界)から連れて来られたと思っています。 ※参加者が別々の世界・時間から連れて来られている可能性に至りました。 ※この場にいる2人のなのは、フェイト、はやての片方が19歳(StS)の彼女達でもう片方は9歳(A's)の彼女達だと思っており、はやて(A's)は歩けないものだと思っています。 ※クアットロを信用するようになりました。 ※エリオと万丈目がデュエルゾンビになっている可能性はあると思っています。 ※この殺し合いがデス・デュエルと似たもので、殺し合いの中で起こる戦いを通じ、首輪を介して何かを蒐集していると考えています。 ※図書館ではやてと簡単な情報交換を行いました。 ※川辺でヴィータが斬りかかろうとした相手はクアットロだと思っています。 ▼ ▼ ▼ (……さて、これからどうしましょうかね。一応気絶していたから包丁は私が拾ってきましたけど、それだけでは少し心許ないですね) 翠屋1階でクアットロはそんな事を考えつつも使える物がないか家捜しをしていた。 家捜しとは言うものの、翠屋の中は既に誰か来たのか使える物はほとんど残っていなかった。 (全く災難でしたわ。制服は使い物にならないわ、ナンバーズスーツは流されてしまうわで、最悪~) 実は今クアットロは高良みゆきの制服を着ていない。 それもそのはずで、件の制服は川を流れる間に破れ目が酷くなって最早身体を隠すという衣服の役目を果たさなくなっていたのだ。 しかも元々着ていたナンバーズスーツは川に落ちた衝撃で手放してしまって行方知れずという始末。 だから今着ている服と下着は辛うじて翠屋に残っていた代物である。 それは高町なのはの姉、高町美由希が通う私立風芽丘学園の制服だ。 胸元の黄色のリボンと白い襟が映える葡萄色のブレザーに茜色のスカートといった中々シャレたデザインの制服だった。 実際着られそうな衣服はこれと一般的なワイシャツと紺のズボンぐらいしか残っていなかった。 食料の方はもっと悲惨で、結論から言うと小麦粉ぐらいしか残っていなかった。 結局翠屋で手に入った物は僅かな衣服と大量の小麦粉ぐらいだった。 喫茶店にもかかわらず砂糖の類が皆無だった事もクアットロに疑問を抱かせる一因になっていた。 (まあ当然と言えば当然の処置ですね。地上本部にも使えそうな物はありませんでしたから。 でもこの中途半端な残り様は奇妙ですね、小麦粉は料理以外にも色々と使えそうだから助かりますけど。 もしかして先に来た参加者が持って行った?) 実はその可能性を示唆する物をクアットロは握っていた。 それは先立って翠屋内に危険がないか一足早く翠屋に入った時の事。 気絶したシャマルを寝かせる場所として八神はやてが希望した場所は二階にある高町なのはの部屋。 理由は小学生の頃からよく遊びに行って勝手知ったる部屋だからという。 だからクアットロも翠屋に着くとまずは二階の高町なのはの部屋を調べた。 着いた部屋には誰かいた痕跡はあったが、少なくとも今は無人になっている事が調べで分かった。 だから程なく外で待機していたはやてを招き入れる事ができたのだ。 だが後から翠屋に入ったはやては気付く事はなかった。 クアットロが高町なのはの部屋にあったメモを回収していた事に。 そこにはミッド語で『しばらく外に出る。俺が戻るまで、そこでじっと身を隠していろ』と書かれていた。 そしてはやては焦って気づかなかったが、裏にも『セフィロス』という文字が書かれていた。 (セフィロス!?) クアットロは元々セフィロスと面識はなかったが、ついさっき出会っている。 川に落ちる直前に現れた二人はセフィロスとヴィータだった。 セフィロスの方は実際に見た事はなかったが、アンジールから話は聞いていたので分かったのだ。 どちらも自分達スカリエッティ側と対立する立場だ。 現にヴィータは「てめえ、覚悟しろ!!!」と叫びながら問答無用に斬りかかりに来ようとしていた。 セフィロスも話によれば容赦など微塵もない恐ろしい人物らしい。 ここは是が非でも八神はやての信用を得て仲介役を頼みたいところだ。 (――とは言うものの、そこが問題なんですよね) 八神はやてと出会ってあまり時間は経っていないが、クアットロは気付いた事があった。 それは八神はやてが自分の事を疑っている事だ。 自分への疑いは向けられる視線だったり、話ぶりだったり、態度だったり、随所で滲み出ていた。 はやて自身はそれを隠しているつもりだろうが、完全に隠し通す事はできていない。 自分と同類だから分かるのだろうかともクアットロはふと思っていた。 それはさておき今の状況が続く事はクアットロにとって望むところではない。 なんとか状況を変えなければ思うように動く事もままならない。 (でも、なにか違和感があるんですよね、特にシャマルへの対応が。あとで探りでも入れてみましょうか) もしこの違和感を上手く利用できれば状況を変える事ができるかもしれない。 そんな思いを抱きつつクアットロの家捜しは続くのだった。 【1日目 昼】 【現在地 F-2 翠屋1階】 【クアットロ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】左腕負傷(簡単な処置済み)、脇腹に裂傷(掠り傷程度)、眼鏡無し、髪を下ろしている、キャロへの恐怖と屈辱 【装備】私立風芽丘学園の制服@魔法少女リリカルなのは、ウォルターの手袋@NANOSING、血塗れの包丁@L change the world after story 【道具】支給品一式、クアットロの眼鏡、大量の小麦粉、セフィロスのメモ 【思考】 基本:この場から脱出する。 1.これからどうするか考える(特にはやてへの対応やキャロの事)。 2.その後は北方向で大人しくするか、南方の施設や病院に向かうか。 3.十代、シャマル、はやての信頼を固めて、とことん利用し尽くす。 4.首輪や聖王の器の確保。 5.チンクともコンタクトをとりたいが…… 6.フェイト(StS)との接触は避ける。 【備考】 ※参加者は別々の世界・時間から連れて来られている可能性に至りました。 ※アンジールからアンジール及び彼が知り得る全ての情報を入手しました(ただし役に立ちそうもない情報は気に留めていません)。 ※アンジールの前では『アンジールの世界のクアットロ』のように振る舞う(本質的に変わりなし)。 ※基本的に改心した振りをする(だが時と場合によれば本性で対応する気です)。 ※デュエルゾンビの話は信じていますが、可能性の1つ程度にしか考えていません。 ※この殺し合いがデス・デュエルと似たもので、殺し合いの中で起こる戦いを通じ、首輪を介して何かを蒐集していると考えています。 ※デュエルモンスターズのカードとデュエルディスクがあればモンスターが召喚出来ると考えています。 ※地上本部地下にあるパソコンに気づいていません。 ※制限を大体把握しました。制限を発生させている装置は首輪か舞台内の何処かにあると考えています。 ※主催者の中にスカリエッティや邪悪な精霊(=ユベル)もいると考えており、他にも誰かいる可能性があると考えています。 ※優勝者への御褒美についての話は嘘、もしくは可能性は非常に低いと考えています。 ※キャロは味方に引き込めないと思っています。 ▼ ▼ ▼ 現在崩壊したF-3の橋の場所には代わりの橋が架かっている。 それは半壊した列車。 しかもただの列車ではなく護送用に三層構造の装甲を装備した特別製の列車だ。 だがそんな頑丈だと思われる列車には所々穴が開いていて、まともに動くのか疑問を抱いてしまう。 一応それなりの長さはあるので川に渡す橋の代わりには十分なっている。 それをヴィータは呆然と眺めていた。 ヴィータは知る由もないが、これを橋代わりに置いたのは少し前にここに流れ着いたはやて達だった。 川から上がって馴染みのある翠屋に行こうと地図と方位磁石で現在地を調べたところ、そこは川の東側であった。 翠屋は西にあるのでどうにか川を渡る必要があったが、幸いはやての支給品の中にこの列車があったので橋代わりに架けたのだ。 余談だがはやてに与えられた支給品はこの列車とカリムの教会服、それにスモーカー大佐のジャケットであった。 見る人が見ればスモーカー大佐のジャケットについている十手が武器にならない事もない。 だがはやてのとって大きな十手など邪魔なだけであり、結果はやては武器が無いと判断していたのだ。 だがそんな事は今のヴィータには些細な事だった。 自分の身に何が起こったのかヴィータは何となく勘付いていた。 おそらく無意識の内にヘルメスドライブを使って偽者の『はやて』の元に転移したのは間違いないだろう。 だから突然の転移で一瞬セフィロスの手が緩んだ事で抜け出せた事も、目の前に偽者の『はやて』がいた事も納得がいく。 あと近くにはシャマルと見知らぬ女性もいた事も薄らとだが覚えている。 その時は頭が真っ白になって偽者の『はやて』に斬りかかろうとしたが、いきなり横から凄まじい爆発が起きた。 それはエール・トールと妖艶なる紅旋風の激突によるものだったが、咄嗟にヘルメスドライブを盾にして重傷は運良く避けられた。 しかしヘルメスドライブが無事かどうかは分からない。 もしかしたら攻撃を受けて破損した可能性もある。 だがこんな事も今のヴィータには些細な事だった。 (なんで、なんで偽者の『はやて』が生きていて、本物の『はやて』が死んでいるんだよ!!!) 今のヴィータの胸の内にあるのは失望だけ。 なぜならつい先程自らの主である『八神はやて』の死体を確認して、直後に偽りと断じている『八神はやて』を確認したのだから。 ヴィータの心の内は千々に乱れていた。 主と慕う本物の『はやて』が知らぬ間に死んで、姿を似せた偽者の『はやて』がのうのうと生きている。 それはヴィータにとってこの上なく理不尽に思える事であり、頭で分かっていても認めたくない事でもあった。 『八神はやて』はヴィータ達ヴォルケンリッターのとって特別な主だった。 今までの主は闇の書が齎す力を欲してページの収集を求める者が大半だった。 きちんと覚えていないが、たぶんそんな感じだったと薄らと記憶している。 だが『八神はやて』は違った。 人に迷惑をかける事を嫌ってページの収集を行う事を許さないばかりか、自分達を家族として迎え入れ、幸せな日々を与えてくれた。 そうヴィータ達はただあの幸せな日々を守りたいだけだった。 「それなのに、こんな結末って、ありかよ!!!」 思わず声を上げてしまうほど今のヴィータは湧き上がる感情を抑える事が出来なかった。 周囲に誰かいれば気付きそうな程の叫びだったが、幸いにも周囲に人影はない。 「これから、どうすればいいんだよ……はやてが死んで、あたし達――!?」 そこでヴィータはある事に気付いた。 それは自身の身体に関する事だ。 ヴィータの身体には今のところ何の変化もない。 だが、それこそが今のヴィータにとっておかしな事なのだ。 「なんで、消えないんだ?」 『八神はやて』つまり現在の闇の書の主が死んだという事は、次の主を求めて闇の書が転移する事に繋がる。 だが『はやて』が死んで2時間ほど経つと思われるのにヴィータの身体は消える兆候さえない。 試しに槍を指輪に戻したりバリアジャケットを生成してみたが、別に急激に身体に変化がある訳ではない。 そこまでやってみてヴィータはある結論に至った。 「そうか、そうなんだ。あの時死んでいた『はやて』も偽者だったんだ。本当のあたし達の『はやて』はまだ生きているんだ!!!」 つまり元々ヴィータの主である『はやて』はここに呼ばれていなかったのだ。 おそらく今もあの家で皆の自分達の帰りを待っているはずだ。 それがヴィータの辿り着いた結論だった。 それはもしかしたら逃避なのかもしれない。 だが『はやて』が死んだと認めたくないヴィータにはこれこそが真実だと思えたのだ。 「だったら、こんなとこ早くおさらばして――あ、そういえば……」 そこでヴィータはデイパックを一つ余計に持っている事を思い出した。 そのデイパックは川から上がる時に見つけて拾ってきた物だった。 今までいろいろ考え込んでいてまだ中身は確認していない。 「これって何が入って……って、なんだこれ? 確か船に付いている碇だっけ?」 まず現れた物はイカリクラッシャーというハンマー……どう見ても碇本体にしか見えない。 だが槍よりもグラーフアイゼンに近い役割の武器でヴィータはそこそこ満足していた。 そして期待に胸膨らませつつ続いて取り出したのは―― 「……見つかったか」 「お前、融合騎か?」 ――今まで様子見を決め込んでデイパックの中に隠れ潜んでいた烈火の剣精アギトだった。 【1日目 昼】 【現在地 F-3 橋付近】 【ヴィータ@魔法少女リリカルなのはA's】 【状態】バリアジャケット展開中、疲労(中)、左肩に大きな切り傷、全身に擦り傷小、セフィロスへの恐怖 【装備】イカリクラッシャー@魔法少女リリカルなのは STS OF HUNTER、ゼストの槍(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、アギト@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式×2、デジヴァイスic@デジモン・ザ・リリカルS&F、ヘルメスドライブ(約5時間使用不可)@なのは×錬金 【思考】 基本:はやての元へ帰る。 1.融合騎か…… 2.はやての元へ帰るために―― 3.ザフィーラ、シャマルと合流して、殺し合いに乗っている偽者の八神はやてがいる事を伝える。 4.ヴィヴィオを見付けた場合は、ギルモンの代わりに守ってやる。 5.セフィロスとアーカードはぶっ殺す。 6.シグナムを殺した人物を見つけた場合は、仇を討つ。 【備考】 ※ここにいる『はやて』は全て偽者だと思っています。 ※デジヴァイスには一時的に仮パートナーとして選ばれたのかも知れません。 ※放送についてはシグナムからナイブズの間に呼ばれていた名前を聞き逃しました。 ※ヘルメスドライブの使用者として登録されました。 ※はやての元へ帰るためにどうするかまだ具体的には考えていません。 ※ヘルメスドライブはエール・トールと妖艶の紅旋風に対する盾として使った際に破損した可能性があります。 ※アギトの参戦時期はヴィータを知っている頃~ゼストが死ぬまでのどこかです。 【全体備考】 ※【F-3 崩壊した橋】の場所に半壊した護送列車が橋代わりに架かっています。 ※八神はやて、シャマル、クアットロの3人は「きちんと」下着を拝借して着用しています。 ※現在はやてとシャマルの服装一式は乾燥機にかけています。しばらくしたら使えるようです。 ※高良みゆきの制服(あちこち破けて服としての使えない状態)は【F-2 翠屋1階】に放棄しました。 ※ナンバーズスーツ(クアットロ)は川に流されました。 【半壊した護送列車@ARMSクロス『シルバー』】 レリックなどを含むロストロギア運送のための特別列車。 三層構造の装甲で上部での格闘も可能となっている。 但し所々破壊されて穴が開いていたりするので運行するのは無理と思われる。 【カリムの教会服とパンティー@リリカルニコラス】 聖王教会所属のカリム・グラシアが着ている黒の教会服とパンティー(補足すると洗濯したての状態)。 以下パンティーを拾った某牧師の感想。 『いやぁ、このでかさ、こりゃ穿いとるのは相当なデカ尻やな。しかも色が白や! 色気ないにも程があるで~』 【スモーカー大佐のジャケット@小話メドレー】 海軍本部所属のスモーカー大佐の着ているジャケット。 オプションとして大量の葉巻と先端に海楼石を仕込んだ七尺十手が付いている。 【治療の神 ディアン・ケト@リリカル遊戯王GX】 遊戯王カードの一種。「自分は1000ライフポイント回復する」という効果の魔法カード。 Back 王蛇のブランチ 時系列順で読む Next Road to Reunion Back 暇をもてあました神々の遊び 投下順で読む Next Road to Reunion Back 脅剣~キャロ・ル・ルシエ~ 八神はやて Next 銀色の夜天(前編) Back 脅剣~キャロ・ル・ルシエ~ シャマル Next 銀色の夜天(前編) Back 脅剣~キャロ・ル・ルシエ~ クアットロ Next 銀色の夜天(前編) Back Knight of the Rose(後編) ヴィータ Next 烈火(Side K) Back Knight of the Rose(後編) セフィロス Next Road to Reunion Back 暇をもてあました神々の遊び エネル Next STRONG WORLD/神曲・最終楽章(前編)
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3196.html
「オルタドライブ?」 シャーリーの言う単語は、デバイス関係を多少は齧ったわたしにも聞き慣れないものだった。 カズマ君のデバイス、チェンジデバイスと言うらしい箱か又は物々しいバックルとでも形容するしかないそれは、下手なロストロギアより謎だらけのものだった。 もちろん普通のデバイスとは全く違う。機能もよくは分からない。おまけに厳重なプロテクトとダミープログラムによって内部データは閲覧できず、ブラックボックスな中身故にコピーも難しかった。 「ええ、カズマさんが何度か使用した後に調べてみたら幾つかプロテクトが解除されていたんです。それで調べてみたらそんな名前が」 シャーリーにしては珍しい、聞いたことのない専門用語みたいだ。彼女に分からないなら、わたしにも分かる筈がない。 「それで、そのオルタドライブって何のことなの?」 名前からして動力機関みたいな気はする。けれど動力機関が搭載されたデバイスなんて聞いたことがなかった。 「このデバイスに搭載された魔力精製機関のことみたいです。これのお陰でリンカーコアのないカズマさんでも魔法が使えるみたいなんですけど……」 魔力素を変換出来る装置自体を聞いたことがない、とシャーリーは続けた。 簡単に言えば人工のリンカーコアということだと思う。けどそんなもの、一体誰が作ったの? リリカル×ライダー 第五話『鉄槌』 訓練、訓練、また訓練だった。 機動六課隊員、特にフォワードメンバーは頻繁にヘリで任務に向かっていた。復興支援や、ガジェットと呼ばれる自立戦闘機械の掃討などを行っているらしい。JS事件の傷痕は、未だあちこちに残っているらしかった。 一方の俺はまだ任務に従事出来るだけの訓練を積んでいないため、一人居残り練習という有り様だった。一応、教官としてなのはが残っているのは不幸中の幸いか。 すでに俺が目覚めてから、一週間も時間は経過していた。 「飛行魔法に魔力付与攻撃、それにベルカ式防御魔法だけかぁ」 なのはが訓練データを見ながらぼやく。 薄々気付いていたが、俺は相当不器用らしい。基礎的な射撃魔法はもちろん、魔力スフィアの形成も出来なかった。というより、射撃魔法自体が向いていないのだろう。他に補助魔法や戦闘以外に使用する魔法も試したが、いずれもダメだった。 唯一、飛行魔法だけは利点になるらしいが。 「まぁ、カズマ君はどちらかというと騎士だしね」 騎士という言葉は聞き覚えがあるが、彼女の言う騎士はおそらく違う意味だろう。 「なのは、騎士って?」 「えっと、わたし達魔導師がミッド式魔法を使ってるのは教えたよね? ミッド式はね、攻撃魔法は主に射撃魔法が得意で他にも補助魔法や様々な魔法を使うのにも向いた万能な魔法体型なの。一方、ミッド式と対を成す魔法体系にベルカ式と呼ばれるのがあってね。そっちは格闘戦用の魔法を中心に戦闘に特化してるんだけど、それを扱うのが『騎士』」 ……分かったような、分からないような。 まぁ、斬り合いや殴り合いの方が向いてるのは事実だ。 「似たような戦い方をヴィータちゃんとシグナムさんがするから、帰ってきたら習うといいよ」 そのヴィータちゃんとやらは知らないが。 「それよりなのは、もう一度ガジェットってのと戦わせてくれ。実戦形式が一番伸びるのが早い気がするんだ」 俺の案をしばし顎に手を当てて考えた後、溜め息と共に首肯した。 「大体のことは分かったしね。でもガジェットじゃ、物足りないんじゃない?」 なのは曰く、殴り合いや斬り合いが主な俺はガジェットに対し相性が良いらしい。AMFと呼ばれる魔力を阻害するフィールドを持つガジェットは並みの魔導師には天敵となるものの、自分のように殆ど魔力を使わないものには何の障害にもならないのだ。故にガジェットは自分に取って少々役不足な敵だった。 「でも他にないんだろ?」 「そういうわけでもないんだけど……」 いつまでも顎に手を当てて悩むなのは。段々イライラしてきた。 「おい、そこまで悩むんならさっさとその隠し玉出せよ!」 「うーん、後悔しても知らないよ?」 なのはは、にこりと笑った。 ・・・ 「フェイトちゃんお帰り。ここんとこ忙しいのに厄介事押し付けちゃってごめんな?」 「平気だよ。それにはやてだって大変なんでしょ?」 「私は何時ものことや」 フェイトちゃんが一週間ぶりに帰ってきていた。 彼女に依頼したのはカズマ君の調査。執務官という立場を生かして本局で調査してもらっていたのだ。未だ記憶が戻らない以上、こっちが地道に調べていくしかないのだから。 「それでどうやった? カズマ君の世界は見つかった?」 「管理世界と把握している管理外世界からここ最近急にいなくなった人をリストアップしたんだけど、該当する人はいなかった」 「そっか……」 思わずほっとしてしまう自分が嫌いになりそうだ。けど、せっかく六課とも馴染み始めたカズマがいなくなったら寂しいというのは事実だ。そういって自分を誤魔化すことにする。 「けどね」 「ん?」 カズマ君の偽造の身分証明書を提出するために封筒に纏めていた手を止める。珍しい、彼女が言い澱むことがあるなんて。もう一人の親友ほどではないけれど、彼女も正義の人故に何でもはっきり言うのだ。 「実はそっくりな顔の人が15年前に日本で行方不明になったって情報があったんだ」 「なんやて!?」 まさかだった。確かにカズマ君の顔は東洋系だし、名前も日本人っぽいとは思っていた。しかし本当に日本人、つまりは私やなのはちゃんの故郷、第97管理外世界の出身だったとは。 「でも15年前だから今とは顔が違うはずなんだよね」 「あ……そうやね」 確かにそうだった。15年前に似ていただけなら今はずっと老けているはずだ。早とちりだった。 「そっか、ありがとな」 「いいよ、私も気になってたから」 そう言って微笑を浮かべた後、彼女はここを退室していった。 ・・・ 「はぁぁぁ!」 円筒形のガジェットを真一文字に切り裂く。薄っぺらな装甲は容易くひしゃげ、内部機器を粉砕しながらオイルを撒き散らして爆散した。まぁ、魔力を物質化させて、ホログラムで見た目をリアルにしているだけの偽物なのだが。 「これで、15体か」 訓練再開から10分、最初はガジェットと戦っててと言われて戦闘を続けていたが、数にキリがなかった。 そしてまた、ビルの屋上から三体のガジェットが顔を覗かせる。 「くそっ、おりゃあ!」 『Fly Booster』 俺の声に続き、バックルから電子音声が鳴る。それに呼応して背中にある二本のブースター先端に発動した魔法陣から青い魔力光が噴き出し、俺の体が浮かび上がった。 ちなみに、俺は今の体を見て思うことがいくつかある。 まずはバックル。本来はこんなものじゃなかった気がするのだ。他にも腹や肩のアーマーが不自然に感じる。本来ここには何かマークが描かれていたはずなのに。今は無機質な装甲だけだ。 そしてこの背中にあるこのブースターも違和感の原因の一つだ。 「おりゃあああ!」 『Slash』 飛び上がった俺の剣が蒼い魔力光を帯びる。 俺はビルに着地しながら右足を軸に体を回転させ、三体のガジェットを一度に切り裂いた。――そして一歩遅れて爆発する。 「これで、18体かよ」 違和感が何なのか、俺には分からない。今は精一杯生きるしかないのだから。 再び床から四体のガジェットがせり上がる。まだまだ休ませてはくれないか。 「りあぁぁぁあ!」 フライブースターを噴かせ、一気に突進する。いや、しようとした。 それを、轟音が遮った。 「だ、誰だ!」 ガジェットを粉砕した影。背は低い。だが赤い衣装と右手のハンマーが、俺の恐怖心をくすぐる。いったい誰だ? 「なのは、これは一体――」 「お前がはやてを誑かしたのかぁぁぁあ!」 「えぇぇぇ!?」 その赤い影が、俺に襲いかかってきた。 ・・・ 鬱だった。 何故彼をあそこまで罵倒したか分からない。犯罪者と勝手に決めつけ、彼に辛くあたった自分が堪らなく憎い。 任務の合間、つかの間の休憩時間に、あたしは何をやっているんだろう。あの模擬戦以来、考え事ばかりしている気がする。 「ティア?」 声がかかる。スバルだ。あたしに元気がないのを察して来てくれたんだろう。 「ねぇ、スバル」 「何?」 スバルになら、悩みを吐いてもいいかな? 執務官になるために、あまり他人を頼ったりはしたくないのだけれど。 「どうしてあたし、カズマさんにあんなに辛く当たっちゃったんだろう」 「ティア……」 理由は無いわけじゃない。ナンバーズを捕まえた際に、しかるべき罪を課せられるかと思ったら驚くほど軽くて管理局に不信感があったとか。最近良くしてくれているなのはさんを蹴飛ばしたことが許せなかったとか、はやて部隊長が庇ったのが信じられなかったとか。この頃アレの習得が上手くいかず溜まったストレスも原因かもしれない。ホントに、いろいろ。 けど本当は、この機動六課という輪を壊してほしくなかっただけかもしれない。そんな小さな事のために辛く当たった自分が、本当に小さく見えた。 「ティア」 「何よ?」 「一緒に謝ろうか」 「えっ?」 まさかスバルがそんなことを――と考えて、あたしよりもずっとそういうことを気にするやつだったのを思い出した。 「あたしも最初はまだ本調子じゃないなのはさんに暴力を振るったあの人が許せなかったけど、今では反省してるんだ。なのはさんがあの人は悪い人じゃないって言ってたの、早く信じておけば良かったって、今頃になって思ってる」 目に涙を滲ませ、顔を伏せながら言うスバル。きっと任務中も悩んでいたのだろう。それを気付かせないように空元気を出していたに違いない。あたしがいつも通りだったら分かってあげられただろうに。それが悔しい。 「だから、その」 「分かった。スバル、一緒に謝りに行くわよ」 「ティア……」 あたしはなるべくいつも通りに笑いながら、 「くよくよ悩むなんて、アンタらしくないでしょ」 あたしは、そう言った。 ・・・ 何故だか俺は、ティアナとスバルのことを思い出していた。 ティアナとスバルが謝りに来たのは昨日の話だ。こっちはかなり驚いたが、願ってもないことだったので俺も喜んで受け入れた。 何故、今そんなことを思い出すのだろう。 「ぐあっ!」 「どうした! その程度かよ!」 赤い服を着る人影は少女だった。ドレスのような派手なフリルがいくつも付いた服を来ていて、年は小学生くらいだろう。可愛らしい顔立ちをしている。 そんな少女が憤怒の形相を浮かべて、ハンマーを振り回しながら襲いかかってくるなんて悪夢としか思えない。 「グラーフアイゼン!」 『Jawohl!』 威勢の良い彼女の掛け声と、ハンマーから鳴る同じく威勢の良い機械音声が重なる。それと共にハンマー基部のコッキングレバーが動き、薬莢が排出される。 「カートリッジ!?」 「ラケーテン、ハンマー!」 『Raketenhammer!』 赤い魔力がハンマーを包み込む。一瞬の後、ハンマーのヘッド部分は異形の姿に変貌していた。 叩き付ける部分には鋭い突起が、反対側にブースターが付いた新たなハンマーヘッド。見るからに危険そうだと分かる凶悪な外見だ。 それを彼女は、ジェットを吹かして自分の体を軸に回転させながら俺に叩き付ける! 「あぁぁぁぁぁあ!」 俺はそれを右手に発動させた小さな三角形の魔法陣型の盾、パンツァーシルトで受け止める。 甲高い耳が馬鹿になるような音が鳴り響き、ハンマーから生えた突起が俺の盾をガリガリと削っていく。 凄まじい衝撃と突起による追加ダメージ。 俺を守る盾は、限界に達しようとしていた。 『お願い! わたし達の六課を守って!』 その時、なのはの声が耳を震わせた。 ――守る……? そうだ、守らなければ。今六課隊舎を守れるのは俺だけなんだ。 ――そうだ、俺は。 俺が、俺が戦わないと。六課を、ティアナやスバル、エリオ、キャロの帰る場所を守るために。 ――俺はもう、誰も失いたくない。 そうだ、俺は―― ――“全ての人を、守ってみせる!” 「おぁぁぁぁぁっ!」 右手が輝き出す。眩い群青の光は、右手に展開されている三角形の魔法陣を包み込んでいき、亀裂をみるみる修復させていく。 「な! コイツ、いきなり魔力量が――」 少女が表情を変える。だがそんなことはどうでもいい。 俺はフライブースターを最大出力にして押し返す。 均衡する力と力。 「バリア、バースト!」 その状況を、俺はあえて粉砕する。 「なぁっ!?」 盾となっていた魔法陣が爆発し、彼女とそのハンマーを吹き飛ばしながら噴煙で包み込む。これで一時的だが眼は潰した。 俺は死角に一瞬で飛び、青い光を帯びさせた剣を降り下ろ―― 「そこまで!」 ――そうとした所で、戦いは終わりを告げた。 ・・・ 「なのは! てめぇ!」 先程まで戦っていた赤髪の少女が、なのはに掴みかかっていた。 「ごめんね、ヴィータちゃん。ああ言ったらカズマ君と良い戦いをしてくれるかと思って」 「にしてもやり方が悪過ぎだ!」 おそらくなのはの言っていた秘策はこの少女の事だったのだろう。確かにえらく強い相手だった。 ちなみに今いる食堂で夕食がてら事情を聞くということで集まったのだが、彼女がキレ出してしまったため俺には何も出来なかった。 しかし俺はなのはの少女みたいな甘い声にまんまと乗せられたということか。考えてみれば俺が戦わずとも彼女がいた訳なのだから、責任感を持つ必要はなかったのだ。くそ、あの高い声と必死さのある口調は反則だ。思わず守りたくなってしまった。 でも、俺は何か思い出しかけた気が――。 「ホントごめんね。今度はやてちゃんが休み取れるようにわたしが仕事引き受けるから。一緒に遊園地とか、この頃行ってないんじゃない?」 「ほ、ホントかなのは? やったー! はやてと久しぶりのお出掛けだー!」 単純な奴だな、と思ったのは内緒だ。なのははもしかしてこうやって彼女“で”遊ぶことを目的としていたのではないか? そうは思いたくないが……。 「ところでなのは。この子はどういう?」 「あたしか?」 なのはに対して散々怒りをぶちまけたからか、先程よりはずっと爽やかな自信に満ちた笑顔をこちらに向けた。 「あたしはヴィータ。はやての守護騎士ヴォルケンリッターにして機動六課スターズ分隊副隊長のヴィータだ」 赤髪の少女、ヴィータはそう名乗った。 ・・・ ようやく仲直りをしたティアナはカズマへの詫びとしてクラナガンの案内を志願する。二人での奇妙な買い物は、しかし平和には終われない。 ついに物語は始動する。最悪の方向へと。 次回『覚醒』 Revive Brave Heart 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/101.html
ホールドベントという声に気付き、すぐにかわす3人。飛んできた方向を見ると、ライダーがいた。 「あいつ…仮面ライダーガイの芝浦淳か!」 そのライダーは芝浦淳。仮面ライダー『ガイ』である。 だが、龍騎の記憶ではガイはヨーヨーを使ったことは無いはず。 そう思っていると、もう一人のライダーが現れた。 「何だ、あいつ…見たことも無いライダーだ…」 そのライダーは全身が緑色で、頭には大きな目のような何かが付いている。 見た目だけならカメレオンを連想しそうな姿だ。 「へー、神崎士郎が言ってた通り、他のライダーの事も色々知ってるみたいだね」 ガイが緑色のライダーと話す。どうやらこの二人は手を組んでいるようだ。 「でもアンタの事は知らないみたいだよ。ベルデの高見沢さん?」 「お前バカだろ?何で知らない相手にわざわざバラしやがんだよ」 「え?別にいいじゃん。名前だけ知られても能力知られてないんなら別に不利にもなんないし」 ガイとベルデが話している最中、ナイトがあることに気付く。 ベルデの声、そして高見沢という名。これで思い浮かんだのはある有名人物だった。 「高見沢…?まさか、高見沢グループ社長の高見沢逸郎か?」 それを聞いたベルデは、驚いた顔でナイトを見る。仮面で顔が隠れているから表情は分からないが。 「ほう、よく分かったな。どうやって理解した?」 「その声とその名前だ。テレビでお前の声は知っていたし、その声で高見沢といったら高見沢逸郎しか思いつかなかった」 「それだけ知られてんのか。そいつぁ嬉しい…なぁ!!」 声とともに『バイオワインダー』と呼ばれるヨーヨーで仕掛ける。今度はかわしきれず、龍騎に当たった。 「ま、待て!俺はライダーと戦う気はないんだ!」 戦意が無いことを必死でアピールする龍騎。 だが、ガイは親指を下に向け、手をいわゆる『地獄に落ちろ』という形にして言い放った。 「あっそ、じゃあ死んでよ」 第八話 『激闘』 『STRIKEVENT』 ガイがアタッチメント『メタルホーン』を装着し、龍騎へと仕掛ける。 『Panzerschild.』 だが、その攻撃はすんでの所で止められた。 シグナムが防御魔法『パンツァーシルト』で道をふさぎ、その隙にガイの懐に飛び込んだからだ。 「何をしている城戸!死にたいのか!」 どうやらシグナムは戦る気満々のようだ。 シグナムとしてもライダーとは戦いたくない。だがミラーワールドで動いているといつ襲われるか分かったものではない。 ならば遭遇したら死なない程度に戦い、ミラーワールドから追い出そう。シグナムはそう考えたのである。 シグナムはガイを蹴り飛ばし、そのまま一騎討ちへと持ち込んだ。 龍騎はそのシグナムの手助けに行こうとするが… 「どこ見てやがる、テメエ等の相手は俺だ!」 バイオワインダーによる遠距離攻撃を受け、そのままナイトと共闘してベルデと戦うことになった。 「どうしたのお姉さん、もう息切れ?」 余裕のガイと比べ、シグナムは多少息切れしている。 というのも、ガイは他のライダーと比べて高めの防御力を持っている。 さらに高い腕力とメタルゲラスの補助もあり、なかなか決定打を与えることが出来ないのだ。 と、その時シグナムが予備カートリッジを装填する。何か策でもあるのか? 「あれ?何かする気?」 そう聞いたとたん、カートリッジをロードし、いつのまにかシュランゲフォルムになっていたレヴァンティンを鞘へと収めた。 だが、ガイもそれを見てむざむざやられはしない。 「ま、いいや。それじゃ、そろそろ死んでよ」 『FINALVENT』 ガイがメタルホーンを持ち、メタルゲラスの肩へと乗る。その直後、もの凄いスピードでシグナムへと突っ込んでいった。 これがガイが持つ最大の必殺技『ヘビープレッシャー』である。 「待っていたぞ…そうやって大技を放ってくるのを!飛竜一閃!」 刹那、シグナムが鞘からレヴァンティンを抜き、中距離用の決め技『飛竜一閃』を放つ。 アドベント・システムの力もあり、ライダーのファイナルベント技を相殺するだけの威力はついている。 そして接触と同時に煙が上がる。 「うーわ、これじゃ周り見えないな」 だが次の瞬間、嫌でも周りが見えるようになると悟った。 シュランゲフォルムとなったレヴァンティンで体を絡めとられていたのだ。 「な、何だこれ!?まさか最初からこれを狙って…!」 「ああ、そうだ」 煙の中からシグナムが現れる。 「私も誰も殺したくは無い。ならばこうやってミラーワールドから追い出すまでだ」 そう言うと鏡の方を向き、 「分かったら」 振りかぶり、 「ミラーワールドから」 思い切り振り、 「出て行け!」 ガイを鏡へと放り投げた。だが、鏡へはまだ距離が足りない。 「レヴァンティン、システム起動だ」 『了解。アドベント・システム、起動します』 システムを起動させ、モンスターデータを実体化させる。 シグナムのシステムにはドラグレッダーのデータが入っていた。 そして不足分の距離をドラグレッダーが吹き飛ばし、ガイをミラーワールドから叩き出した。 ふと、『シュウウゥゥゥ…』といった感じの音に気付く。自らの体が粒子化していっている音だ。 「時間か。城戸、私は先に戻る」 聞こえたかどうかは定かではないが、反応しないところを見ると、聞こえていないのだろう。 それならそれでもいいとばかりに、シグナムはミラーワールドを去った。 一方、龍騎・ナイトvsベルデの方は… 「くっ、あいつどこ行ったんだ!?」 ベルデの持つ透明化のカード『クリアーベント』に苦しめられていた。 見えない相手からの攻撃、さらに攻撃の瞬間にすら姿を現さないから、苦しむのも当然である。 そしてその当のベルデは、物陰から次のカードを装填していた。 『COPYVENT』 ライアの持つものと同名のカード。だが効果は違う。 ライアがコピーできるのは武器のみ、だがベルデは姿までもコピーできるのだ。 そしてコピーベントでシグナムの姿をコピーし、二人に近づく。 「あ、シグナムさん。そっちは終わ…!?」 ベルデが姿とともにコピーした剣、レヴァンティンで斬りかかってきた。 慌ててドラグセイバーで受け止める。そしてその一瞬の隙を突き、ナイトがウイングランサーで思い切り突いた。 「な!?蓮、どういうつもりだよ!」 「あっちをよく見ろ。確かシグナムとか言ったか?あいつはそこでガイと戦っている。 ならばこいつは偽者…大方ベルデが化けたものだろう」 そう言われ、龍騎は指し示された方向を見る。 確かにシグナムとガイが戦って…今決着がついた。 そして飛ばされた方のシグナムを見ると…いない。どういうことか。 『FINALVENT』 こういう事だ。ベルデ最大の大技『デスバニッシュ』を仕掛けるために距離を置いていたのだ。 バイオグリーザの舌で足を縛り、まるで空中ブランコのようにナイトを掴む。 そして高速回転し、空中で止まった。当然頭を下に向けたナイトを掴んだ状態である。 「このまま脳ミソぶち撒けな!」 そしてそのまま地面へと急降下していく。このままだとナイトは死ぬだろう。 だが、龍騎がそれを許さない。 「させるかぁぁぁぁ!!」 『STRIKEVENT』 ドラグクローを呼び出し、昇竜突破を放つ。 その火球は狙い過たず、ベルデの腕をとらえた。腕を負傷し、体勢が崩れる。 その隙を利用し、ナイトが振り払う。何とか頭は打たずに済んだが、それでも体を強打し、気絶している。 そうこうしている間にベルデが立ち上がる。龍騎は身構えるが、 「時間切れか…やめた」 開口一番にそれである。そのまますぐに帰っていった。 肩透かしを食ったような感じだが、確かにベルデが粒子化を始めている。 おそらく龍騎やナイトより先にミラーワールドに来ていたのだろう。 「時間に救われた…かな…」 そう言った龍騎の仮面の下には、安堵の表情が浮かんでいた。 数日後。 「島田さんからここのシュークリームがおいしいって聞いてたからな…」 真司はとある喫茶店の前にいた。 なぜこんな所にいるか、それははやての家に居候していることを大久保に知られ、「たまには土産でも買っていった方がいいんじゃないか?」と言われたからである。 そして土産に何がいいか調べたところ、この店のシュークリームが美味いと聞き、それを買っていくことにしたのである。 意を決し、真司が店に入っていった。店の看板には『翠屋』と書かれている。 「いらっしゃいま…!!」 何という偶然。蓮と手塚がいた。それも二人ともウェイターとして。 「お前ら…もしかしてここで働いてたのか?」 あまりの出来事に、真司も驚きを隠せない。 「ああ、住み込みで午後3時ごろからな。秋山もだ」 話す気がなさそうな蓮に代わり、手塚が答える。 「ただいまー」 と、喫茶店のドアが開き、なのはが入ってくる。 「あれ?なのはちゃん、こんな所でどうしたの?寄り道?」 「え?違うよ。ここは―――」 「ここがなのはの家だ」 「…え!?」 予想だにしなかった出来事にさらに驚く。 「それと、神崎士郎の妹…神崎優衣と言うんだが、知っているか?」 「あ、ああ」 「…その神崎優衣もここで働いている。もっとも、今は買出しで出かけているが」 あまりの超展開に真司の脳がショートしている。 そして、熱暴走寸前の脳からようやくこの言葉を絞り出した。 「…偶然って怖いな」 この場にいた全員が同意したという。 同時刻、どことも知れぬ場所。 黒い長髪の女が倒れている。死んでいるのか?そう思いたくなるほど長い時間、ここで倒れているのだ。 「う…」 どうやら目を覚ましたようだ。もぞもぞと動き出し、起き上がった。 「私は…生きているの?」 言葉から察するに、今まで自分が死んでいたのだと思っていたのだろう。 女の名はプレシア・テスタロッサ。かつて『ジュエルシード』と呼ばれる結晶体で『アルハザード』という地に行き、娘を生き返らせようとした魔導師である。 だが、それも時空管理局、そして『高町なのは』と『フェイト・テスタロッサ』によって失敗、虚数空間へと落ちていったはずである。 「そうだ、アリシア!アリシアはどこ!?」 目覚め、意識もはっきりしてきたところで娘を思い出す。そうだ。自分とともに虚数空間へと落ちたはずだ。 アリシアを探すも、結局見つからない。絶望で途方にくれていた。 そんな彼女の前に、『あの男』が現れたのである。 『絶望しているようだな』 「…誰よ?」 『お前の絶望を取り除けるかもしれない』 「絶望?ジュエルシードも一つしか無い、それじゃアルハザードに行けない。 アリシアを生き返らせる道が立たれたも同然なのよ? それとも、生き返らせる方法があるとでも言うのかしら?」 『ああ』 男は事も無げに言い放つ。すると、その言葉にプレシアの目に希望が満ち始めてきた。 「どういう事?詳しく教えて」 そして男…いや、神崎士郎は話す。ライダーバトルの存在を。 「つまり、そのカードデッキさえあれば、アリシアを生き返らせる道が開けるという事?」 『そうだ。だが、今は13個全てがそれぞれの人間に与えられた後だ』 「…ならどうすればいいのよ?」 『簡単なことだ。他のライダーから奪えばいい』 そして神崎は一枚の紙を渡す。一通り目を通してみると、それは名簿のようだ。 『ライダーの名簿だ。それに載っている人間からカードデッキを奪え』 次回予告 「アリシアを生き返らせる…そのためなら、私は人殺しにもなるわ」 「意外ね。こんなに早く見つかるなんて」 「待っていて、アリシア…」 「やれやれ、神崎士郎も人が悪い」 仮面ライダーリリカル龍騎 第九話『ライダー交代』 戻る 目次へ 次へ